研究課題/領域番号 |
23590201
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
竹内 裕紀 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (20439912)
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研究分担者 |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (90173252)
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キーワード | ステロイド / 感受性 / カルシニューリン阻害薬 / フォーマコダイナミクス / 相互作用 / FKBP / タクロリムス / シクロスポリン |
研究概要 |
【目的】ステロイド受容体(GR)複合体にはカルシニューリン(CNI)結合蛋白のFKBP51、FKBP52、CyP40が存在し、ステロイドのGRに対する親和性や核内移行性に影響を与えていることから、ステロイドとCNI(タクロリムス:TAC、シクロスポリン:CYA)は、GR複合体レベルにおける薬力学的相互作用があると考えられる。【方法】①健常者30名のPBMCに対するメチルプレドニゾロン(MPSL)のIC50と濃度-増殖抑制曲線下面積(CPS-AUC)を相加群と混合培養群で比較した。②腎移植患者23名でMPSLとコルチゾール(COR)の移植前後でのIC50の変化を調べた。③SiRNAによりFKBP51、FKBP52、CyP40の機能発現をノックダウンしたJurkat細胞のステロイド感受性の変化を調べ、ステロイド感受性に及ぼすCNI結合蛋白の影響を検討した。【結果】H23年度①MPSLのIC50とCPS-AUCは相加群に比べ、併用培養群で有意に小さかった。またTACはCYAに比べ、ステロイド感受性に対する増強効果は大きい傾向にあった。平成24年度②腎移植患者の移植前後のMPSL,CORのIC50値は移植後で低い傾向にあったが、その中でTAC投与患者のCOR IC50は移植後に有意に低下していた。平成24年度③Jurkat細胞を使用し、SiRNAによりFKBP51の発現抑制だけを確認でき、FKBP51ノックダウンJurkat細胞のステロイド感受性は3名中2名でIC50低下(感受性増加)の傾向を示した。 【考察】TAC、CYA共にステロイド感受性が増強することが示唆され、その増強効果はTACの方が高い傾向にあった。しかし、その作用機序は2名のFKBP51における僅かな傾向であり、またFKBP52とCyp40では、SiRNA導入の基礎的設定ができていないため、今後の検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
FKBP52とCyp40のSiRNAの導入がウエスタンブロット法で確認できておらず、FKBP51だけが導入できていることから、SiRNAの導入法、siRNAの配列とその標的遺伝子に問題がある可能性もあり、段階の基礎的設定ができていないため、今後の検討が必要である。 またFKBP51ノックダウンJurkat細胞の感受性試験においては3例中2例でその傾向が認められているものの、その感受性増強作用は弱いため、作用メカニズムの証明までは至っていないと判断できる。さらにN数を増加し、検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
①in vitroにおけるCNIによるステロイド感受性増強作用、および②臨床におけるステロイド感受性の増強作用は確認でき、現象としてのCNIによるステロイド感受性増強作用は明らかにすることができたが、③CNIによるステロイド感受性増強作用の作用メカニズムについてのみ途中の段階であるため、今後は最もその影響が強いと考えられているFKBP51のNs数を増やし、感受性増強作用があるか否かを明確にすることに主眼を置く。
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次年度の研究費の使用計画 |
FKBP51ノックダウンJurkat細胞および健常者PBMCのステロイド感受性試験を実施するため、平成24年度の繰越金132,823円と平成25年度直接経費500,000円で、平成23年度、24年度同様におもに感受性試験およびSiRNA導入、ウエスタンブロット等の試薬。器具等に使用させて頂く予定である。
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