研究課題
【目的】ステロイド受容体(GR)複合体にはカルシニューリン(CNI)結合蛋白のFKBP51が存在し、ステロイドのGRに対する親和性や核内移行性に影響を与えていることから、ステロイドとCNI(タクロリムス:TAC、シクロスポリン:CYA)は、GR複合体レベルにおける薬力学的相互作用があると考えられる。【方法】①健常者30名のPBMCに対するメチルプレドニゾロン(MPSL)のIC50と濃度-増殖抑制曲線下面積(CPS-AUC)を相加群と混合培養群で比較した。②腎移植患者23名でMPSLとコルチゾール(COR)の移植前後でのIC50の変化を調べた。③SiRNAによりFKBP51、FKBP52、CyP40をノックダウンしたJurkat細胞のステロイド感受性の変化を調べ、ステロイド感受性に及ぼすCNI結合蛋白の影響を検討した。【結果】H23年度①MPSLのIC50とCPS-AUCは相加群に比べ、併用培養群で有意に小さく、ステロイド感受性への増強作用が認められた。またTACはCYAに比べ、増強効果は大きい傾向にあった。平成24年度②腎移植患者の移植前後のMPSL,CORのIC50値は移植後で低い傾向にあったが、その中でTAC投与患者のCOR IC50は移植後に有意に低下していた。平成24年度③Jurkat細胞を使用し、SiRNAによりFKBP51の発現抑制を確認でき、FKBP51ノックダウンJurkat細胞のステロイド感受性は3例中2例でIC50低下(感受性増加)の傾向を示した。平成25年度はさらに被験者を追加し6例中3例で感受性増加を示した。しかし、現在のリポフェクタミン法ではSiRNAの導入効率が低いため、エレクトロポレーション法にてSiRNAの導入を試み,培養時間を96時簡に延長することで、ノックダウンがより確実に実施できることを確認した段階である。【考察】TAC、CYA共にステロイド感受性が増強することが示され、その増強効果はTACの方が高い傾向にあることを確認でした。しかし、その作用機序について、傾向は認められるものの、いまだ再現性をもって確認できた段階までは至っていない。
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