研究課題/領域番号 |
23590203
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
佐藤 光利 東邦大学, 薬学部, 准教授 (60231346)
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研究分担者 |
佐藤 陽治 国立医薬品食品衛生研究所, 遺伝子細胞医薬部, 部長 (40312285)
武藤 里志 東邦大学, 薬学部, 准教授 (50120316)
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 血管新生 / 血管内皮細胞増殖因子 / 低酸素誘導因子 / リンパ球混合培養試験 / 免疫調節 |
研究概要 |
1.血管新生予測遺伝子候補のバリデーションとその生理的役割の検討 本研究により、ヒト骨髄間葉系幹細胞(hBMSC)は虚血培養条件下で、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の遺伝子発現量およびタンパク質分泌量を増加させ、また、VEGFはhBMSCの心筋保護作用の主要な役割を担っていることを明らかにした。さらに、血管新生予測遺伝子候補の探索研究によりVEGF secretion-related candidate (VSR) 7を見出した。VSR7は、VEGF以外の低酸素誘導因子(HIF-1α)感受性遺伝子であるSERPINEおよびPDGFβに対しても、虚血応答性の相関がみられた。異なったロットにおける血管新生関連生理活性物質産生能との相関性を評価し、血管新生予測因子としての有用性を検討すると同時に、血管新生予測因子候補の発現をRNAi によりノックダウンし、血管新生関連生理活性物質産生への影響を評価し、両者の因果関係および血管新生作用における生理的役割を明らかにした。 2.間葉系幹細胞の免疫調節作用(immunomodulatory effects)の検討 間葉系幹細胞のimmunomodulatory effects を評価するためのリンパ球混合培養試験(mixed lymphocyte reaction: MLR)法を確立した。①由来の異なる2 種類のリンパ球細胞の一方をマイトマイシンで処理することにより細胞の分裂増殖能を阻害した後、組織適合抗原の異なるもう1種類のリンパ球細胞を加え、5 日間培養した。②5-bromodeoxyuridine (BrdU)法によりBrdU-ELISA測定し、間葉系幹細胞が存在しないときと比較して、MLR 阻害による間葉系幹細胞のimmunomodulatory effect を評価するための評価系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管新生予測遺伝子候補遺伝子候補VEGF secretion-related candidate (VSR) 7を見出し、その生理的役割の一部であるが研究成果を得ることができた。今回の研究により平成24年度に得られた研究成果については、第86回日本薬理学会年会にて学会発表を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者と研究分担者は、情報交換をしており、交付申請書の研究計画に従って研究を遂行している。 平成25年度も引き続き、共同研究者と研究成果について連絡をとることにより研究を推進する。また、必要に応じて研究報告会議を開催するなどの研究を促進するための措置を行なう。さらに、学会発表を行なうことにより他研究者とも情報交換を行ない研究を促進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度予算300,000円については、虚血応答性血管新生関連生理活性物質の相関因子探索研究によって得られたデータ、および間葉系幹細胞の免疫学実験によって得られたデータの解析、ならびに学会発表等の経費として使用する。また、消耗品費については、必要に応じて間葉系幹細胞の特性解析に必要な追加実験を行なう経費として使用する。研究分担者佐藤陽治博士に配分された平成24年度分担研究費は、平成23年度に購入した試薬・器具の残りおよび所属研究機関の余剰試薬等で賄なうことができたので結果的には平成24年度内には使用しなかったが、平成25年度に追加で継続実施予定の実験に使用する予定である。
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