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2011 年度 実施状況報告書

中枢機能調節因子としての有機イオントランスポーターの生物薬学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23590206
研究機関立命館大学

研究代表者

藤田 卓也  立命館大学, 薬学部, 教授 (00247785)

研究分担者 守屋 友加  立命館大学, 薬学部, 助教 (00512295)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードニューロペプチド / トランスポーター / 初代培養神経 / アストロサイト
研究概要

NAAG は哺乳類の中枢神経系において比較的高濃度存在する neuropeptide であり、N-acetyl-L-aspartate と glutamate より合成される。NAAG はアストロサイト細胞膜上に発現する NAAG peptidase による加水分解を受け N-acetyl-L-aspartate と glutamate を生成することから、脳内における glutamate 前駆体であると考えられている。一方、NAAG は代謝型 glutamate 受容体に作用してシナプスからの glutamate 放出を抑制する作用を有し、統合失調症等の神経疾患治療におけるターゲットとなり得るため、脳における NAAG の動態特性を精査することは生理学的・薬理学的に重要である。これまでに、NAAG はグリア細胞に発現する dipeptide transporter (PEPT2) の基質となることが電気生理学的手法を用いた検討により報告されている。しかし、中枢系における NAAG の輸送に関与する transporter 本体が PEPT2 であるか否かに関する検討は未だなされていない。また、NAAG はジペプチド構造を有すると同時にトリカルボン酸構造も有している。中枢系では TCA 回路中間体の輸送を担う Na+-coupled carboxylate transporter (NaC2, NaC3) の発現が確認されており、これら transporter が NAAG の輸送に関与している可能性も考えられる。そこで、中枢神経系における NAAG の輸送特性を明らかにすることを目的とし、マウス大脳皮質より単離した初代培養ニューロン、アストロサイトおよび PEPT2、ジ・トリカンボン酸 transporter (NaC2、NaC3) 発現細胞を用いて、検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脳内に発現しているジトリカルボン酸トランスポーターやジトリペプチドトランスポーターのニューロペプチド(N-acetyl-glutamate:NAAG)の輸送に関する検討を初代培養システムと遺伝子発現系を用いて詳細に検討することができた。その結果、いずれのトランスポーターにおいてもNAAGは低親和的に輸送される可能性が示唆されたものの、他の生理的基質の輸送の阻害物質として働く可能性が高いことが示唆された。また、エンケファリンがニューロン内にNa+依存的に輸送される現象に関しても確認することができた。この結果は、がん細胞株でない細胞系においてエンケファリンが能動的に輸送されることを新規に証明したものである。上記の検討結果を含め、平成23年度は、順調に研究を進展させていると判断している。

今後の研究の推進方策

平成24年度は、前年度までの研究を遺伝子クローニングも含めて進展させるとともに、さらに様々な有機イオン transporter について、ニューロン・グリア細胞における発現・機能調節機構に関して検討を加える。特に近年同定された情報伝達系アミノ酸トランスポータースーパーファミリー(SLC6A transporter superfamily)に属する3種の中性アミノ酸トランスポーター(SLC6A15、SLC6A19、SLC6A20)に関して、その輸送機能の調節機構を詳細に検討する。また、これら transporter のプロモーター解析を行うことで、発現調節機構に関しても検討を加える予定である。

次年度の研究費の使用計画

ニューロン・グリアにおけるトランスポーターの発現調節機能の解析のため、ニューロン・グリア初代培養が必要となり、その費用として30万円を予定している。また、遺伝子解析や細胞培養に必要な試薬類として30万円、培養等に必要な消耗品費として20万円、成果発表(日本薬物動態学会、日本神経化学会)への出張旅費(5万円x1名:2学会)として10万円の支出を予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Pharmacokinetic interaction study of sulfasalazine in healthy subjects and the impact of curcumin as an in vivo inhibitor of BCRP.2012

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Kusuhara, Sakiko Yamada, Chungyong Wu, Shinya Fukizawa, Ichiro Ieiri, Mariko Morishita, Kiminobu Sumida, Hiroshi Mayahara, Takuya Fujita, Kazuya Maeda, and Yuichi Sugiyama
    • 雑誌名

      British Journal of Pharmacology

      巻: 166 ページ: 1793-1803

    • DOI

      10.1111/j.1476-5381.2012.01887.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Extra-renal Elimination of Uric Acid via Intestinal Efflux Transporter BCRP/ABCG2.2012

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Hosomi, Takeo Nakanishi, Takuya Fujita, and Ikumi Tamai
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 7 ページ: e30456

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0030456

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quantitative evaluation of the impact of active efflux by P-gp and Bcrp at the BBB on the predictability of the unbound concentrations of drugs in the brain using cerebrospinal fluid concentration as surrogate.2011

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Kodaira, Hiroyuki Kusuhara, Takuya Fujita, Junko Ushiki, Eiichi Fuse, and Yuichi Sugiyama
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics

      巻: 339 ページ: 935-944

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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