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2012 年度 実施状況報告書

眼圧降下と視神経保護を同時標的とした新しい緑内障治療薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23590208
研究機関近畿大学

研究代表者

伊藤 吉將  近畿大学, 薬学部, 准教授 (50128633)

キーワードピログルタミン酸 / 緑内障 / シクロデキストリン / 眼圧 / 点眼薬 / 一酸化窒素
研究概要

ピログルタミン酸を用い眼圧降下及び視神経保護を標的とした緑内障治療への応用及びその作用機構についての解明を目指し、平成24年度は昨年度作成したピログルタミン酸点眼製剤の眼圧効果機序の解明を中心に検討を行った。
1.R, L体ピログルタミン酸が眼圧へ与える影響: R,L体のピログルタミン酸がウサギ眼圧日内変動へ与える影響について検討したところ、R体では点眼後も眼圧に変化が見られなかったが、L体を点眼することで、昨年度明らかとした眼圧降下作用と同様の効果が認められた。
2.ブドウ糖負荷ウサギ高眼圧モデルにおけるピログルタミン酸点眼液の眼内降下機構: 5%ブドウ糖を耳静脈から急速投与することで、ウサギ眼圧を過剰に高めた高眼圧モデルを作成し、このモデル動物へピログルタミン酸点眼液(L体)を点眼することで高い眼圧効果作用がみられることを明らかとした。さらに、この眼圧上昇には一酸化窒素(NO)による房水産生亢進が関わり、ピログルタミン酸点眼はNO産生を抑制することで眼圧降下作用を示すことを明らかとした。
3.ピログルタミン酸点眼液と市販抗緑内障治療薬併用時における相互作用: 市販抗緑内障薬として、臨床で広く用いられているチモプトール点眼液とピログルタミン酸点眼液の眼圧降下作用の効果や相互作用について検討を行った。その結果、ピログルタミン酸は市販緑内障点眼薬と同程度の眼圧降下作用を示し、チモプトール点眼液との併用によりその効果が増すことを明らかとした。
以上の結果より、L-ピログルタミン酸を含む点眼液は、市販薬と同程度の高い眼圧効果作用を有することを明らかとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを用いピログルタミン酸点眼液を調製するとともに、L体のピログルタミン酸からなる点眼液が、安全かつ高い眼圧降下作用を有していることを明らかとした。また、この眼圧降下作用には一酸化窒素が関わっていることを見出した。さらに、これらピログルタミン酸点眼液は日内変動や急速な眼圧上昇にも対応することができるという知見が得られた。したがって、最終年度にあたる来年度には、このL体ピログルタミン酸を用いて「ピログルタミン酸点眼液点眼後の眼内動態」について明らかにするとともに、昨年度確立した網膜血管の撮影条件及び血管幅解析方法を用い、ピログルタミン酸点眼液点眼後の視神経保護機構を検討する予定である。これらL-ピログルタミン酸が眼圧降下作用及び視神経保護作用を有することを明確とした昨年及び本年度の成果は、研究が順調に進展していることを示している。

今後の研究の推進方策

ラットや家兎などの実験動物を用い、ピログルタミン酸点眼液点眼が網膜血管及び視神経へ与える保護効果や作用機構についての検討を行うとともに、昨年度購入したiPRECIOマイクロインフュージョンポンプを用い、ピログルタミン酸の経時的硝子体注入法によるその視神経賦活効果を明らかとする。また、速度式を用いたファーマコキネティック解析により、点眼後の眼内動態を明確とする。これにより、ピログルタミン酸による眼圧及び視神経保護を同時標的とする新たな治療法を確立する予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費は以下のものを購入するために使用する予定である。
房水中一酸化窒素測定のためのプローブ及び試薬、眼圧測定器トノペンの消耗品、リアルタイムPCR及びDNAシークエンスのため試薬、、網膜培養のための栄養液, 培養フラスコ及び実験処理試薬、動物実験のためWistar系ラット・日本白色家兎

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Reduction of Enhanced Rabbit Intraocular Pressure by Instillation of Pyroglutamic Acid Eye Drops2013

    • 著者名/発表者名
      Ito Yoshimasa
    • 雑誌名

      Biological & Pharmaceutical Bulletin

      巻: - ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [備考] 近畿大学薬学部 製剤学研究室

    • URL

      http://www.phar.kindai.ac.jp/pharmtec/

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公開日: 2014-07-24  

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