研究課題
本年度は、24年度の研究成果を踏まえ、以下の研究を行った。1.ウルソデオキシコール酸(UDCA)の重水素標識N-アセチルシステイン(d3-NAC)抱合体を合成し、LC/MS/MSにより精製する特徴的イオンを精査するとともに、定量法を開発した。次いで、UDCAとd3-NACを投与したラット尿中に、UDCA-d3-NAC抱合体が排出されていることを明らかにし、投与されたUDCAが代謝活性化後、d3-NACと直接縮合する可能性が示唆された。これは、薬物として投与されたUDCA誘導体の代謝経路を明らかにするうえで重要な知見となる。2.UDCA親和タンパク質の捕捉を目的としたアフィニティー抽出用基材として、24年度に合成したUDCAの側鎖側を固定化した不溶性担体に加え、ステロイド骨格3位側を固定化した不溶性担体を調製すべく、3位にカルボキシル基を有するUDCA誘導体の合成を行った。すなわち、UDCAの側鎖カルボキシル基をトリクロロエチルエステル基で保護した後、3位水酸基をt-ブチルジメチルシリルエーテル化、7位水酸基をアセチル化した。引き続きクロム酸により3位を脱保護するとともにカルボニルに酸化し、カルボキシルメチルエステル誘導体を合成した。これを活性エステル化後、アミノ基をリアクターとして有する不溶性担体に結合して、先に調製した不溶性担体と相補的に用いることにより、UDCAの側鎖並びにステロイド骨格の両者に親和性を示すタンパク質の捕捉が可能となり、これを同定することにより、UDCAの薬理作用発現機構の解明の一助となると考えられる。3.爬虫類や魚類の胆汁中に新規抱合型胆汁酸が存在することを明らかにし、新たな胆汁酸誘導体候補を見出した。
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Steroids
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