研究課題/領域番号 |
23590210
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
岩城 正宏 近畿大学, 薬学部, 教授 (30140346)
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研究分担者 |
川瀬 篤史 近畿大学, 薬学部, 講師 (80411578)
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キーワード | 肝毒性 / トランスポーター / 代謝酵素 |
研究概要 |
当初予定していたターゲット分子はCYP2C11, UGT2B, CoAthioester合成律速酵素,MRP2およびMRP3であったが,現在,MRP2,MRP3について検討を行っている。これまでのところ,MRP2およびMRP3のmRNA発現をsiRNAノックダウン法により低下させたときのジクロフェナク (DF)レベルとDFのグルクロン酸抱合体 (DF-Glu)の産生と毒性発現との関わりについて検討を行ってきた。その結果,MRP2およびMRP3ノックダウンによるDF-Gluの細胞内蓄積変化は認められず,共有結合体の生成にも大きな違いはみられなかった。このことより,MRP2およびMRP3の発現変動は特異体質性肝障害に大きな影響をおよぼさない可能性が示された。 そこで,CYPおよびUGTとともに薬物の解毒経路において重要な役割を担っていると考えられるGSTによる代謝経路の寄与について検討を行うこととした。検討にはGSH枯渇モデル動物をBSO腹腔内投与により作製し,GSH低下時のDFおよびDF-Glu産生量と毒性発現との関連を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れていると判定する理由としては, 1. 当初計画している分子のうちMRP2およびMRP3のみに限定して検討を行っている。 2. アデノウイルスベクターを利用したノックダウン法が予定より遅れており,siRNAを用いたノックダウンでの検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
GSH枯渇とMRP2またはMRP3ノックダウンを組合せた検討を行っていく。また,これまでに検討してきたMRP2およびMRP3以外のターゲット分子であるCYP2C11, UGT2B, CoAthioester合成律速酵素について配列の決定およびshRNA発現アデノウイルスベクターの構築を行う。これらについてはsiRNAや阻害剤の利用も考慮し検討を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の使用計画は各ターゲット分子に対するshRNA合成,ノックダウン効率検討のin vitro試験,効率的にノックダウン可能なshRNA配列発現アデノウイルスベクター作製における消耗品の購入に使用する予定である。具体的にはノックダウン効率検討は細胞のluciferase assayによりターゲット遺伝子のノックダウン効率を確認するため,細胞培養関連の消耗品,遺伝子導入試薬およびluciferase assay試薬が必要となる。shRNA配列発現アデノウイルスベクターの作製には細胞に感染後に精製を行うための試薬が必要となる。
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