研究課題/領域番号 |
23590216
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
秋田 恵一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80231819)
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研究分担者 |
山口 久美子 東京医科歯科大学, 医歯学融合教育支援センター, 講師 (90376799)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 骨盤出口筋 / 外肛門括約筋 / 球海綿体筋 / 直腸縦走筋 |
研究概要 |
本研究は骨盤出口筋の機能温存を試行した解剖学的基盤の形成を目指して企画された。今年度はヒトの骨盤出口筋の肉眼解剖学的および組織学的な観察を行い、成人での形態を細かく観察した。 骨盤部を本研究専用に用いることができる解剖実習体 14体(男性7体、女性7体)を用いた。骨盤を切り出し、正中で半切し、右5側を肉眼的観察、左14側を組織学的観察に用いた。肉眼的には、内側から外肛門括約筋と肛門挙筋を剖出した後、外肛門括約筋と肛門挙筋の線維の走り方を観察した。組織学的には、肛門管の前面、側面、後面から標本を作成し、Hematoxylin Eosin染色、Elastica van Gieson染色、横紋筋・平滑筋に対する免疫染色を行なった後、外肛門括約筋を分ける境界を観察した。 男性では、直腸壁・尿道球・前立腺に囲まれた一点に、外肛門括約筋、球海綿体筋、直腸縦走筋の線維が集まっていた。一方、女性においては、外肛門括約筋は男性同様に正中に停止していたが、球海綿体筋は外肛門括約筋の外側に停止していた。女性の骨盤底を支える筋要素が従来考えられていたよりも少ないことが明らかになった。 男性および女性において、直腸の縦走筋は外肛門括約筋を貫いていた。特に後方では直腸壁を下行する縦走筋の線維が輪状の外肛門括約筋を貫き、翻って尾骨に向かって上行していた。随意筋である外肛門括約筋の作用が不随意筋である直腸の縦走筋によって修飾されることが示唆された。 このような結果は、エコー所見と照らし合わせ、現在解析されているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究開始時に想定していた外肛門括約筋と直腸縦走筋の関係のみならず、球海綿体筋を含んだ広い視野で解剖および組織標本の作製を進めることができ、結果を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は計画通り、現在までに得られた結果を血管および神経叢との関係につなげることができるよう、範囲を広げていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費は、主に筋組織、神経系の免疫組織学的解析に使用する予定である。その他、解剖に関わる消耗品に使用する予定である。
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