研究課題/領域番号 |
23590216
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
秋田 恵一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80231819)
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研究分担者 |
山口 久美子 東京医科歯科大学, 医歯学融合教育支援センター, 講師 (90376799)
二村 昭元 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40622098)
原田 理代 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80555756)
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キーワード | 骨盤出口筋 / 直腸縦走筋 / 内肛門括約筋 / 外肛門括約筋 / 球海綿体筋 |
研究概要 |
本研究は骨盤出口筋の機能温存を試行した解剖学的基盤の形成を目指して企画された。今年度はヒトの骨盤出口筋の肉眼解剖学的および組織学的な観察を行い、成人での形態を細かく観察した。 骨盤部を本研究専用に用いることができる解剖実習体 7体(男性1体、女性6体)を用いた。2体は肉眼的に肛門挙筋と直腸の付着部位を観察した。骨盤から直腸と肛門挙筋を含めた肛門周囲の構造を切り出し、放射状に切り分けた。肉眼的には、外肛門括約筋と肛門挙筋の線維の走り方を観察した。組織学的には、Hematoxylin Eosin染色、Elastica van Gieson染色、横紋筋・平滑筋に対する免疫染色を行なった後、外肛門括約筋を分ける境界を観察した。 恥骨直腸筋と恥骨尾骨筋の相互関係が前方と後方で変化していた。後方においては直腸縦走筋が上後方へ折れまがっているために肛門挙筋と内肛門括約筋が直腸縦走筋を介して接している長さは短かった。前方においても、肛門挙筋が外肛門括約筋から分離するために、肛門挙筋と内肛門括約筋が接する長さは短かった。側方においては恥骨直腸筋と外肛門括約筋が上下に伸長しているために、肛門挙筋、外肛門括約筋が内肛門括約筋に接している長さが長くなっていた。 前年度に得られた所見と合わせ、腹腔鏡の技術を用い、肛門機能を温存したうえで直腸がんの手術を行うISR(Internalsphincteric resection)という手技を安全に行うための科学的な根拠として解析を行っている。 また、マウスの骨盤を組織学的に解析し、直腸縦走筋と外肛門括約筋の関係を明らかにし、ヒトと比較した。ヒトでみられる直腸縦走筋から外肛門括約筋を貫く線維は伸びておらず、平滑筋と横紋筋が複雑に骨盤底を支えることがヒトならではの構造であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ヒトにおいては、研究開始時に想定していた外肛門括約筋と直腸縦走筋の関係のみならず、球海綿体筋・内肛門括約筋を含んだ広い視野で解剖および組織標本の作製を進めることができている。平成24年度は、腹腔鏡による直腸手術を想定した、直腸外科的な視点が加わり、多くの結果を得ることができている。 マウスにおいては、肛門周囲の筋の構造に関しての解析が進んでいる。ヒトとの所見と比較し、ヒトとマウスとの違いが明らかになってきている。
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今後の研究の推進方策 |
肉眼(臨床)解剖学的研究および組織学的研究については、例数を増やすため、そのまま継続していく。現在までに得られた結果を血管および神経叢との関係につなげることができるよう、範囲を広げていく予定である。 また、骨盤出口筋の個々の筋束は非常に小さく、剖出しにくい。よって、立体的空間的に理解することが非常に難しい。そこで、得られた肉眼的・組織学的所見を三次元的に再構築することを進めていく。 これらの所見がどのように形作られていくかについても、マウス胚を用いて解析を進める。この際、マウスとヒトとの間での共通点・相違点を分けて解析し、ヒトの構造の理解へとつなげていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費としては、実験動物の購入、ヒトおよびマウスの標本作製に200,000円程度、使用する予定である。得られた所見を解析し、データを保存するための機器に200,000円程度使用する予定である。 今年度は、昨年までの成果をまとめ、国際学会で発表することになっている。旅費に600,000円程度使用予定である。 また、本年度も、成果をまとめた論文を投稿予定である。そのため、英文校正・投稿の費用として200,000円程度使用予定である。
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