研究課題/領域番号 |
23590220
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
三浦 真弘 大分大学, 医学部, 講師 (50199957)
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研究分担者 |
内野 哲哉 大分大学, 医学部, 助教 (70423697)
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キーワード | 脳脊髄液 / 髄液漏出j機序 / 硬膜外リンパ系 / 脈管外通液路 / RIシンチグラフィー / ICG蛍光イメージ |
研究概要 |
頸・胸・腰髄膜領域における正常髄液漏出に関る形態学的特徴の解明-2:各分節髄膜領域における生理的CSF経リンパ管側副吸収動態をinvivo解析(成熟日本ザル3匹)するために、インドシニアグリーン(ICG)を脊髄くも膜下腔内に5mL注入しICG-PDE解析を試みた。注入ICGは腰仙髄各神経根遠位まで経時的な伸展・浸潤は認められたものの、髄膜浸潤領域において硬膜外への異常なICG逸脱ならびに大動脈傍リンパ節への吸収像は検索時間内で認められなかった。ただし胸髄領域では注入直後から広域の胸腔椎骨傍リンパ節において即座に蛍光像が出現し個数・光度ともに経時的に増強した。ICG・インジゴカルミン注入(ヒト髄膜):動物実験におけるインジゴカルミンの腰仙髄領域・その関連髄膜組織への浸潤様式(ink-cuff)は、ヒト脊髄硬膜ICG-PDF検索においても同様の結果であった。SEM検索:ICG浸潤領域の腰髄神経根には頸髄膜同様、PLyC関連篩状斑(MCF)の存在が認められた。また同構造にはインジコゴカルミン液の結晶成分の残存も認められた。RI脳槽シンチで異常なCSF漏出像として多分節の神経根に観察される片側限局性または対称性のRI集積像は、硬膜-神経根移行部の髄膜破綻に起因する異常な髄液漏出、またはCSFの逸脱を伴わない正常像(漏出像の本態)である可能性が高いことが示唆された。CSF側副吸収に関連する硬膜外リンパ管網(ELN)・硬膜の機械的伸展に呼応する神経制御機構の解析:アセチルコリンエストラーゼ染色、GFAPをサル髄膜にて探索した。肉眼解剖学的検索で精査された硬膜枝の分布領域(硬膜-神経根移行部の背側髄膜表面)に一致して神経陽性反応を認めたが、髄膜表面に分布するこれらの神経成分と酵素染色にて描出された硬膜外リンパ管系との支配関係の詳細解明については今後の課題として残された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CSF側副吸収に関連する硬膜外リンパ管網(ELN)と硬膜の機械的伸展に呼応する神経制御機構の解析については、アセチルコリンエストラーゼ染色、GFAP (glial fibrillary acidic protein)をサル髄膜での探索に用いているが、5'-Nase酵素組織化学法にて検出されたENLとの組織学的関係については、さらに他の神経染色法を用いた組織学的検証が必要と考えている。従って、硬膜枝の髄液圧調節機構に関わるメカノレセプターならびにENNの支配神経の形態学的特徴についてはまだ確証の持てる結果には至っていない。手術用顕微鏡下で剖出されたヒト脊髄神経硬膜枝(髄膜メカノレセプター)については、その分布領域(硬膜-神経根移行部の背側髄膜表面)と髄膜組織層との位置的関係についてはある程度の規則性は確認しているが、それら神経線維に関連する神経終末の形態学的解明については今後の課題と考えている。一方、髄液の生理的髄膜漏出機序については申請者らが考案したICG-PDE解析による髄液漏出ならびに髄膜内正常浸潤様式の検索では、国内外初となる機能-形態学的成果を上げている。
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今後の研究の推進方策 |
髄液圧の変化にともなう生理的髄液漏出については、硬膜外リンパ管系との連関機能をさらに検索する予定であるが、同時に脊髄膜分節高におけるCSF経リンパ管側副吸収能の違いについても引き続きICG-PDE解析を中心とした実験においてinvivoにて検討したい。また、髄膜-神経根背側表面に分布する硬膜枝の神経成分解明と酵素組織染色にて描出された硬膜外リンパ管系の管壁平滑筋の制御機構についても解析を継続したい。一方、専門医の協力のもと、脳脊髄液漏出症の鑑別画像診断のガイドライン設定についてもRIシンチ画像などで観察される異常像の形態学的根拠の獲得も本研究課題の一環として基礎データ獲得を目指したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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