研究課題
脳脊髄液(CSF)が硬膜-神経根に潜在する脈管外通液路(PLC)を介して硬膜外リンパ系(EDLS)に側副吸収される漏出現象をサルICG蛍光イメージング(ICG-PDE解析)において検証・確認できた。また脳脊髄液漏出症の有力な鑑別診断とされるRI脳槽シンチでの腰仙髄神経根からの対側性漏出現象については、同領域特有のPLCを介するCSF浸潤様式やEDLSの発達不全に起因した擬似的異常漏出(生理的漏出)が多数含まれることを明らかにした。特に、RIシンチで異常なCSF漏出像として腰仙部に出現するクリスマスツリー徴候(多髄節漏出)は異常な髄液漏出を反映しない正常像である可能性が高いことが示唆された。一方、EDLSのCSF側副吸収制御に関わる神経支配状況については、サル髄膜での免疫組織学的検索において、頸髄外表面に局在するEDLS周囲に硬膜枝に由来すると考えられるS-100・Synaptophysin陽性神経線維が多数分布することを確認した。また神経線維の種類同定には至らなかったが、動脈に近接した走行特徴から類推して交感神経性の線維成分が弁構造を有するEDLS平滑筋の制御、すなわちEDLS固有の支配神経としてCSF側副吸収異常に深く関わる可能性についても言及できた。CSF異常漏出の発症機序については、髄膜の機能的・物理的構造破綻の他、EDLS過剰髄液吸収に関わる神経制御異常(自律神経失調)も新たな発症機序として挙げられた。また、頸髄領域で生じた髄膜内PLCの構造・機能破綻(拡張)に起因した異常な漏出CSFは、同時にEDLS神経制御異常に伴う積極的な経リンパ管側副吸収が促進されることで、神経根周囲の組織間隙に異常な漏出像として診断画像上観察されない可能性も示唆された。異常なCSF漏出におけるPLC-EDLS連関の役割、そしてEDLS神経制御の詳細については今後の課題として残された。
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