研究課題/領域番号 |
23590221
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
和中 明生 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90210989)
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研究分担者 |
辰巳 晃子 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (90208033)
奥田 洋明 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40453162)
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キーワード | 糖鎖修飾 / 転写調節 / アストロサイト / C6ST-1 |
研究概要 |
本年度はOASISの下流分子の検索を主に行った。生直後のOASISーKOマウスと野生型マウスの双方からアストロサイトを1次培養し、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン産生に関わる糖鎖合成酵素、C6ST-1、C6ST-2(糖鎖の6位に硫酸基を転位する酵素群)、C4ST-1、C4ST-2、C4ST-3(糖鎖の4位に硫酸基を転位する酵素群)、GalNAc4S-6ST(糖鎖の4位に硫酸基を付加し、6位に転位する酵素)、UST(糖鎖の2位に硫酸基を転位する酵素)の発現をmRNAレベルではReal time-PCRを用いて、一部の酵素については抗体を用いて蛋白発現レベルをウエスタン解析で検討した。Real time-PCRの解析から、C6ST-1がOASIS-KOマウス由来のアストロサイトでは有意に野生型に比して発現低下していることが明らかとなった。その他のC6ST-2,C4ST-1,-2,-3、GalNAc4S-6ST、USTについてはKO由来、野生型アストロサイトの両者の間で発現レベルに大きな差は認められなかった。さらにC6ST-1,C6ST-2、C4ST-1に関しては抗体が入手可能であったので、ウエスタン解析を行ったところ、遺伝子発現の結果と同じく、C6ST-1の蛋白レベルがKOマウス由来のアストロサイトで有意に低いことが明らかとなった。以上の事実はOASISが転写調節因子であることと考え合わせると、C6ST-1遺伝子の転写をOASISが制御している可能性を強く示唆している。現在C6ST-1のゲノム断片をPCRを用いて取得し、C&ST-1遺伝子の転写メカニズムを直接解析すべく、コンストラクトを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は昨年度までのIn vivo解析とは異なり、研究計画の内のin vitro解析を主体に行った。予備的検討で検出していた糖鎖修飾酵素の一種であるC6ST-1がOASISの直接ターゲットであるという仮説がほぼ確実であるという証拠を得られたという点で計画通りの結果が得られたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
C6ST-1ゲノム(5’上流の約5Kb、第一イントロン、第二イントロン)をPCRを用いて単離することをまず推進する。これらの領域は通常の遺伝子転写調節領域である可能性が高い部分である。これらの領域をリポーター(ルシフェラーゼ)遺伝子の5'上流に組み込み、転写アッセイを行い、OASISの調節領域をスクリーニングしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度の研究費は主に上に述べた転写アッセイ用のベクター作成と転写アッセイ用の培養細胞(C6細胞かU323細胞)の維持(培地、培養用血清、培養用プラスチック器具等)に主に用いる。これらに加えて一般的な分子生物学実験用試薬(制限酵素等)の購入にも充てる。
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