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2012 年度 実施状況報告書

骨格筋形成におけるWNTファミリーとTGFベータファミリーの相互関係

研究課題

研究課題/領域番号 23590227
研究機関川崎医科大学

研究代表者

濃野 勉  川崎医科大学, 医学部, 教授 (20098619)

キーワード骨格筋分化 / 筋芽細胞 / Wnt3a / Wnt4 / C2C12 / BMP4 / noggin / ウイルスベクター
研究概要

骨格筋の成長を抑制するマイオスタチンに対して拮抗作用を示すWnt4とβカテニン系を活性化するWnt3aの筋分化に対する作用を中心に,血清濃度低下(分化培地)で誘導されるマウス筋芽細胞株C2C12の筋分化のプロセスを調べ,アデノウイルスベクターでの強制発現系や組換えタンパク質の添加による効果を比較検証した。Wnt4を恒常的に発現するC2C12由来細胞株を作成すると,細胞増殖は著しく低下して自発的にミオシン重鎖を発現するようになる。マイクロアレイ解析では筋分化のマーカー遺伝子に加えてBMP4の発現が上昇していた。元のC2C12細胞でも増殖培地から分化培地へ換えるとBMP4の発現が上昇するので,筋分化の誘導にBMP4/Smad系の関与が推測された。しかし,BMP4タンパク質の添加では筋分化が顕著に抑制され,その効果はBMP拮抗作用を持つノギンタンパク質によってブロックされる。ノギン自身はC2C12の筋分化を促進する効果があり,その作用は内因性BMPによるSmad1/5リン酸化に対する阻害を介して起きている。Wnt4とWnt3aはBMP4によるSmad1/5のリン酸化に対して影響を及ぼすが,BMP4/Smad系はWnt/βカテニン系に対して影響はみられない。これらの結果は筋分化の過程でWntシグナル経路がBMP4/Smad経路に対して部分的に影響を及ぼしていることを示しているが,その効果は間接的に起きている可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の成果に追加して,次のような成果が得られている(論文投稿中)。
筋芽細胞株に対する作用はWntファミリー間で差があるが,ウイルスベクターを用いた発現系で行った実験結果と,組換えタンパク質を添加した場合とで効果に差が見られることが判明した。そのため,βカテニン経路を介するWnt3aとそれに対して拮抗作用を示すWnt4を用いて,筋芽細胞株の分化に対する効果を比較した。筋分化の誘導過程ではTGFβスーパーファミリーの中でSmad1/5を介して作用するBMP4の発現が上昇するので,このBMP経路とWnt経路の関係を中心に調べた。BMP4自体は筋分化を抑制し,ノギンはその作用に拮抗した。ノギンによる筋分化促進はWnt存在下で影響を受け,Wnt/βカテニン経路とBMP/Smad経路とのシグナルクロストークが推測された。

今後の研究の推進方策

Wnt3aとWnt4の効果は組換えタンパク質を用いた場合とウイルスベクターによる強制発現系を用いた場合で差があることから,筋分化に対する作用が相補的であることが判明したので,これらのシグナル分子が筋芽細胞に対して増殖と分化の切り換えにどのように影響するかを経時的に比較する必要がある。ノギンやフォリスタチンなどのTGFβスーパーファミリーに対する阻害タンパク質を用いることでSmadシグナル経路とWntシグナル経路との関係を解明して行く。今後は組換えアデノウイルスを用いた発現系と,組換えタンパク質を用いた効果の比較で,Smadリン酸化およびβカテニンの細胞内局在を主な指標として,これらの相互関係を細胞レベルで詳細に調べる予定である。

次年度の研究費の使用計画

当初の予定通りで,物品費・旅費・その他に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Importance of Wnt8 lipid modification during formation of the Spemann's organizer in early Xenopus embryos.2012

    • 著者名/発表者名
      成田知弘, 本村恵理子, 西松伸一郎, 坂井雅夫, 濃野 勉
    • 学会等名
      第45回日本発生生物学会・第64回日本細胞生物学会合同大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(神戸)
    • 年月日
      20120528-20120531

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公開日: 2014-07-24  

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