研究概要 |
消化管(粘膜固有層)に分布するビタミンA貯蔵細胞の存在を明確にすることができた(Senoo H, Mezaki,Y, Morii M, Hebiguchi T, Miura M, Imai K (2013) Uptake and storage of vitamin A as lipid droplets in the cytoplasm of cells in the lamina propria mucosae of the rat intestine. Cell Biol Int, 37: 1171-1180)。これらの細胞は肝臓の星細胞(ビタミンA貯蔵細胞)に形態が酷似していて、腸管側からも大循環側からもビタミンAを取り込み、貯蔵することができた。蛍光顕微鏡下ではビタミンAの自家蛍光を細胞質の脂質滴から発していた。細胞周囲にはコラーゲンをはじめ細胞外マトリックスが電子顕微鏡によって観察された。こうして、今後は生化学的、分子細胞生物学的に解析し、機能を明らかにする方向性を示すことができた。すなわち、ビタミンAや脂肪の吸収・貯蔵機能や免疫監視、コラーゲン等の細胞外マトリックスの合成・分泌と分解の機能を解明への示唆となる。これによって、メタボリック症候群やクローン病、潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患の原因解明と治療可能性への道への一助になることと思われる。
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