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2012 年度 実施状況報告書

脂質二次伝達物質リン酸化酵素の神経細胞および内分泌細胞における発現局在の比較解析

研究課題

研究課題/領域番号 23590229
研究機関山形大学

研究代表者

八月朔日 泰和  山形大学, 医学部, 准教授 (00372334)

キーワードジアシルグリセロールキナーゼ / 特異抗体 / 免疫組織化学染色法 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 小脳プルキンエ細胞 / 線条体 / 免疫沈降法 / ゴルジ染色
研究概要

平成24年度は、脂質性二次伝達物質ジアシルグリセロール(DG)のリン酸化酵素であるジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)ファミリーのうち、ベータ型DGK(DGKβ)およびイプシロン型DGK (DGKε)について、ニューロンにおける機能解析を行う目的で、確立した特異抗体を用いた免疫沈降法により結合タンパクの検出を試みた。またDGKβ-KOマウス脳およびDGKε-KOマウス脳にゴルジ染色法を施行し、各アイソザイム喪失による線条体投射ニューロンおよび小脳プルキンエ細胞の形態変化について解析を行った。
特異抗体を用いた解析により、DGKβが線条体においてAMPA型グルタミン酸受容体サブユニットのうち、GluR2と結合していることが明らかとなった。さらに、DGKβおよびGluR2をSH-SY5Y細胞に共発現させて免疫沈降法を行い、in vitroの系においてもDGKβとGluR2が結合していることを確認した。ゴルジ染色法を行った結果、DGKβ-KOマウス線条体投射ニューロンにおいて、野生型と比較して、遠位の樹状突起における単位長さあたりの棘突起数の減少が認められた。棘突起の形態については、有意な違いは認められなかった。一方DGKε-KOマウス小脳プルキンエ細胞においては、野生型と比較して、樹状突起における単位長さあたりの棘突起数の増加が認められた。
以上より、DGKβおよびDGKεは神経細胞内において、棘突起数の増減などの形態変化に重要な役割を担っていることが明らかとなった。さらにDGKβがAMPA型グルタミン酸受容体と結合し、線条体投射ニューロンにおける細胞内シグナル伝達に関与する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度の研究計画では、以下の目標を挙げた。
1)DGKβの副腎における発現局在と下垂体ドーパミン刺激実験における局在解析
2)特異抗体を用いたDGKβおよびDGKεのシグナル伝達複合体の解明
当該年度に関して、申請者はDGKβについては線条体において、DGKεについては小脳において特異抗体を用いた免疫沈降法によりシグナル伝達複合体の解析を行い、DGKβが線条体においてAMPA型グルタミン酸受容体のサブユニットのうち、GluR2と結合していることを明らかに出来た。DGKβの副腎における発現局在およびドーパミン投与による下垂体中間葉における局在変化の解析についても、条件の決定などの検討を進めている。また当該年度はDGKの網膜における発現局在に関する論文を発表し、脳以外の組織におけるDGKおよびイノシトールリン脂質シグナル系分子の重要性を明らかにした。以上より、当該課題の「研究の目的」に対する達成度は、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

平成25年度は、DGKβの副腎における発現局在およびドーパミン投与による下垂体中間葉における局在変化の解析を継続して行うとともに、DGKεのシグナル伝達複合体の解析を免疫沈降法などを用いて進める。またDGKβ-KOマウスおよびDGKε-KOマウスの神経細胞および内分泌細胞の形態変化を、マウス脳切片や初代培養細胞を用いて、ゴルジ染色法、免疫組織化学染色法および免疫電子顕微鏡法により明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

申請者の本年度実支出額は受領額とほぼ同額となり、適正に予算が執行されたと考える。
次年度の研究費は、次年度請求研究費と合わせて免疫組織化学染色用試薬購入および動物飼育などに使用するほか、学会発表および論文投稿に対しても使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Distinct Expression and Localization of Diacylglycerol Kinase Isozymes in Rat Retina.2013

    • 著者名/発表者名
      Hozumi Y, Matsui H, Sakane F, Watanabe M, Goto K
    • 雑誌名

      J Histochem Cytochem.

      巻: 61(6) ページ: 462-476

    • DOI

      10.1369/0022155413483574

    • 査読あり
  • [学会発表] 網膜におけるジアシルグリセロールキナーゼの発現局在解析2013

    • 著者名/発表者名
      八月朔日 泰和
    • 学会等名
      第118回 日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 発表場所
      サンポートホール高松 (高松市)
    • 年月日
      20130328-20130330
  • [学会発表] Expression and localization of diacylglycerol kinase in rat retina.2012

    • 著者名/発表者名
      Hozumi Y
    • 学会等名
      Society for neuroscience 42nd annual meeting
    • 発表場所
      Ernest N. Morial Convention Center (米国ニューオリンズ)
    • 年月日
      20121013-20121017
  • [学会発表] 小脳におけるイプシロン型ジアシルグリセロールキナーゼの発現局在と行動解析

    • 著者名/発表者名
      八月朔日 泰和
    • 学会等名
      第44回 東北生理談話会
    • 発表場所
      山形大学医学部 (山形市)

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公開日: 2014-07-24  

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