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1) マウス唾液腺において消化酵素アミラーゼは主に耳下腺でつくられるが、顎下腺と舌下腺におけるアミラーゼ産生については詳細が明らかでない。そこで雌雄マウスの顎下腺と舌下腺についてアミラーゼのmRNAおよび蛋白質の発現と局在を定量的および組織化学的に調べたところ、顎下腺では雄に発達する顆粒性導管細胞に中等度の発現、腺房細胞に弱い発現が見られ、舌下腺では漿液性半月細胞のみに発現が見られた（論文印刷中）。
2) 細胞骨格蛋白質のケラチン5（K5）は、マウス顎下腺導管系の一部に存在するとされるが、詳細は明らかでない。そこでマウス顎下腺の生後発達においてK5の局在を免疫組織化学で追求したところ、K5は生後2週頃から筋上皮細胞に局在した。さらに、2週以降の介在部導管において、腺房に近い顆粒性介在部導管細胞には存在せず、線条部導管との境界部分の細胞に局在した。このことから、K5は筋上皮細胞のマーカーであるほか、介在部導管細胞から線条部導管細胞への分化における前駆細胞マーカーであることが示唆された（論文準備中）。
3) マウス顎下腺の導管系において顆粒性導管（GCT）は雄で発達し、雌へのアンドロゲン投与で線条部導管がGCTに転換する。アンドロゲン受容体（AR）を欠損するマウス（ARKO）の顎下腺を調べたところ、雄のARKOでも正常雌と同様にGCTの発達が見られず、アンドロゲンを投与しても転換が見られなかったが、甲状腺ホルモンを投与するとGCTへの転換が見られた。このことから、GCTの分化には古典的なARを必要とすること、甲状腺ホルモンはARなしにGCTの分化をおこすことがわかった。正常マウスとARKOマウス、またARKOマウスにアンドロゲンや甲状腺ホルモンを投与した前後の顎下腺の遺伝子発現の網羅的解析により、GCTに特異的な遺伝子や、古典的なARによらずにアンドロゲンで誘導される遺伝子を同定した（論文準備中）
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