今後の研究の推進方策 |
23年度の研究計画であった以下のことを行う. A.膜脂質を特異的に認識する新たなプローブの開発: 各リン脂質に特異的に結合する蛋白質ドメインとGSTまたはMBP融合蛋白質を形成し,標識の特異性を確かめる. B.細胞膜内葉に存在するラフト分子の検出と分布解析: 1) 内在性ラフト分子であるH-Ras, Fyn, Gαなどについて局在解析を行い,これら分子のクラスター形成がコレステロールに依存するかを検討する.2) 成長因子刺激などによる上記ラフト分子の局在の変化を解析し,PI(4,5)P2などとの関係の変化も解析する. C.細胞内オルガネラにおける脂質局在の可視化方法の確立: 1) 昨年度までの検討により細胞内オルガネラ膜を効率良く検出でき,各オルガネラを同定するマーカーを選択し,細胞内オルガネラを解析する方法を確立する.2) 各オルガネラ膜上でのリン脂質の二次元的分布を空間統計学的に解析する.3) 種々の生理的,実験的な条件でのリン脂質の分布変化を解析する. D.形質膜の外葉・内葉の相関を解析する方法の確立: 1) 双面レプリカを作製し,同一細胞膜の相補的な外葉・内葉を効率的に同定する方法を確立する.相補的レプリカ技術に必要なレプリカ作製用試料台を新たに設計・作製する,細胞を培養する基質に非対称の形状の目印を刻印する,細胞浮遊液に何らかの粒状物質を入れる, レプリカの断片化を防ぐため,Lexan樹脂でコートし,物理的に安定化する方法を用いるなど,精度と解析効率を高める方法を創出する.2) 上記1)の双面レプリカ法を用いて,細胞膜外葉のGM1, GM3, GPI結合蛋白質と,内葉のラフト分子であるH-Ras, Fyn, Gαなどの内在性ラフト分子,あるいはモデル系として既にラフトに存在することが示されているMyrPalm-mCFPの相関を定量的に解析する.
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