研究課題
平成24年度は、Olig2転写因子に結合する因子をニワトリ胚に単独、あるいは、共発現することにより機能発現実験を行った。エレクトロポレーション法を用いてニワトリ胚に外来遺伝子を導入する際に、エレクトロポレーションの操作自体が胚の細胞にダメージを与えるので、遺伝子導入の条件の最適化を行い、細胞増殖や組織構築への影響のほとんどない至適条件を見出した。この条件を用いて、ニワトリ胚の脊髄における機能発現実験を行ったところ、1つの結合因子(OBP2)では、全長タンパクの発現でミエリン関連遺伝子発現の誘導が起こらないにもかかわらず、N末端を欠失したタンパクの発現ではミエリン関連遺伝子の誘導がおこることがわかった。この欠失タンパクはOlig2への結合能を有するので、Olig2とOBP2の相互作用がオリゴデンドロサイトの発生を制御していることが示唆される。Olig2転写因子はN末端でリン酸化を受けることが知られている。リン酸化Olig2に似せたリン酸化Olig2変異体と、非リン酸化Olig2変異体、および、野生型Olig2の発現ベクターを、ニワトリ胚に遺伝子導入して、オリゴデンドロサイト分化誘導能に違いがあるかどうかを検討している。
2: おおむね順調に進展している
ニワトリ胚におけるエレクトロポレーション法の良い実験条件を見出して、機能発現実験を行ってきており、Olig2結合因子の機能解析は順調に進んでいると考えられる。
平成25年度も継続して、ニワトリ胚を用いた機能発現実験を行う。さらに、Olig2転写因子の転写因子としての機能を定量的に調べるために、ルシフェラーゼアッセイを行う。OBP2に関しては、機能発現実験でその効果が確かめられれば、遺伝子改変マウスの作製を試みる。
分子生物学、組織学の解析に必要な試薬の購入費用を計上している。また、マウスや鶏卵を購入する費用、および、マウス維持費用を計上している。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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