血液濾過を担う腎糸球体の主要構成要素の一つである糸球体上皮細胞は、足突起と呼ばれる特殊な構造を介して濾過に必要なslit diaphragmを形成している。隣り合う細胞間に形成されるslit diaphragmは、分化前の糸球体上皮細胞に存在するアドヘレンス結合が変化して構築される構造と考えられてきた。しかしながら、アドヘレンス結合の構成分子を欠損させても顕著な異常は認められなかった。そこで、アドヘレンス結合と密着結合の2つの接着構造に関係する分子ZO-1を欠損するマウスを作製し、糸球体構造および濾過機能への影響を解析したところ、変異マウスはヒト糸球体障害で認められるのと同様の異常を示した。
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