研究課題/領域番号 |
23590244
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
古田 晶子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤助教 (50229118)
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研究分担者 |
小池 正人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80347210)
佐々木 光穂 順天堂大学, 医学部, 助教 (20432536)
砂堀 毅彦 順天堂大学, 医学部, 助教 (00407115)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | リソソーム / オートファジー / ダノン病 / LAMP-2 / 心筋症 / リソソーム蓄積病 |
研究概要 |
リソソーム膜タンパク質 lysosome-associated membrane protein-2 (LAMP-2) は、肥大型心筋症、自己貪食空胞性ミオパチー、精神発達遅滞を主徴とするダノン病の原因遺伝子であり、サブタイプのひとつLAMP-2Aは、シャペロン介在性オートファジー(CMA)の受容体として知られている。平成23年度は、病態に結びつくLAMP-2分子の機能を解明する為、LAMP-2欠損マウスの解析を行った。 LAMP-2欠損マウスの中枢神経系の病変を検討したところ、免疫組織化学染色において12週齢雄のミュータントマウスの大脳大型神経細胞ではLAMP-1およびカテプシンDの染色性が増加していた。電顕では神経細胞にリポフスチンが多くなり、多彩な像を呈する蓄積物質が認められた。これらの蓄積物質はコンカナバリンA陽性であった。また、ゴルジ体マーカーであるGM130陽性構造物が増加し、電顕でゴルジ体の形態変化が見られた。一方、ウェスタンブロット法でオートファゴソームの形成を示す膜型LC3は、LAMP-2欠損マウスの肝では増加していたが大脳では変化が見られなかった。中枢神経系はリソソーム内の蓄積が主病変であり、LAMP-2欠損マウスの神経細胞では、リソソームにおける基質の分解が不完全であると考えられた。 さらに、LAMP-2欠損マウスの脳組織において発現変化する分子を、2次元電気泳動と質量分析で同定したところ、ユビキチンープロテアソーム関連タンパク質、熱ショックタンパク質、シナプス関連タンパク質、カルシウム伝達タンパク質が変化していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LAMP-2欠損マウスの組織学的変化を解析することにより、現在までに記載されていなかった中枢神経系病変の概要が明らかになり、発現が変化したタンパク質の同定は、次年度以降の病態形成の機序解明につながると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度得られた結果をもとに病態形成にどのようなシグナル伝達系が関与するか検討するとともに、生体内での意義が未だ評価されていないCMAの生理的・病的意義についても実験を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
LAMP-2欠損マウスの維持、組織検討と、欠損マウス由来の初代神経系培養細胞を用いた実験を施行するために必要な消耗品費、及び学会出席のための旅費を使用する予定である。
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