研究課題
リソソーム膜タンパク質であるLAMP-2は、リソソーム膜の単なる構造タンパク質ではなく選択的オートファジーに関連する重要な機能分子であると報告されている。LAMP-2遺伝子変異であるダノン病は、精神発達遅滞をきたすにもかかわらず、精神神経症状に対応する神経病理学的所見は記載されていなかったためダノン病の剖検脳を詳細に検討したところ、リソソーム蓄積病として矛盾しない病理像を呈していた(Furuta et al. Acta Neuropath 2013)。本研究では、LAMP-2ノックアウトマウスを用いて中枢神経系を検討しLAMP-2の機能を明らかにすることを目的とした。ノックアウトマウスの脳では心臓や肝臓と異なり、黒質網様部の軸索以外にLC3陽性のオートファジー空胞はほとんど認められず、神経系細胞への凝集物蓄積が主な所見であった。機能分子の変化を検討するためにノックアウトマウスと野生型マウスの脳を2次元電気泳動で比較したところ、ユビキチン―プロテアソーム系、熱ショックタンパク質、シナプス関連、カルシウムシグナル系の分子群の発現が変化していた。また、LAMP-2ノックアウトマウスに新生児脳低酸素虚血と中大脳脈梗塞モデルを作製し野生型と比較すると明らかに強い変化が認められ、LAMP-2が病巣修復機序に関与している可能性が示唆された。最終年度(H25)は、継続して実験を行うとともにこれらの結果をオートファジー研究会と日本解剖学会総会で発表した。今後、病的状態におけるLAMP-2の役割を含めて中枢神経系における機能を検討していきたいと考えている。
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Autophagy
巻: 9 ページ: 1167-71
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Acta Neuropathol
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