研究課題/領域番号 |
23590248
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
長野 護 近畿大学, 医学部, 講師 (80155960)
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研究分担者 |
鯉沼 聡 近畿大学, 医学部, 助教 (10340770)
升本 宏平 近畿大学, 医学部, 助教 (60580529)
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キーワード | 概日リズム / 視交叉上核 |
研究概要 |
哺乳類の概日リズムの中枢である視交叉上核(SCN)において、それぞれ固有の周期を持つ神経細胞間の同期によって同一周期の概日リズムを発振している。一方、位相についてはSCNの小領域間で異なり、背側部の内側から外側に向かって位相波を生じていることを時計遺伝子 Per1, Per2の発現解析により明らかになっている。また、SCNの細胞間の同期にはcAMPによる位相伝達が必要であることが報告されている。そこで、このcAMPによる位相伝達を乱したときにSCN内の周期や位相がどのような影響を受けるかを検索した。新生児Per2::LucラットのSCNスライスを作製し、その発光を冷却CCDカメラで経時的に観察した。cAMPシグナルを受容体非依存的に活性化するフォルスコリンをSCNスライス培養に継続的に作用させることで同期シグナルを乱し、周期と位相の解析を行った。その結果、新生児ラットのSCNの組織スライス作製後において各神経細胞の周期は同期していたが、フォルスコリン存在下ではSCN の細胞間および領域間の脱同期が生じた。このときSCN内における位相波の起点に相当する最背内側部で24時間よりも周期の短い領域が存在し、外側部に24時間よりも周期の長い領域が存在することが明らかになった。また、in situ hybridizationによるPer1, Per2の発現解析で、周期の短い領域はSCNでPerの発現が内側から外側へと位相差を持って伝播する位相波の起点領域と一致することが明らかとなった。また、ラット視交叉上核におけるin situ hybridizationによるPer1, Per2遺伝子発現の経時的観察により、この位相差は短日条件から長日条件に変化させた際には拡大することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1回の冷却CCDカメラ観察装置による視交叉上核スライス培養における細胞の薬剤応答性の実験に3週間ほど要する。そのため、冷却CCDカメラ観察装置による検証実験がすこし遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
視交叉上核スライス培養の冷却CCDカメラ観察装置による経時的観察前に微弱発光測定装置による検証実験で最適なスライス培養を選別し、より効率良く適確に冷却CCDカメラ観察装置によるデータ収得を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子やタンパク発現の検索のための分子生物学的研究に使用する試薬や実験動物および飼料代や電子顕微鏡観察関連の用品のための費用と培養実験用品の購入費用に使用する。
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