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2012 年度 実施状況報告書

心房細動の発症・維持に関与する新しいイオンメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23590256
研究機関秋田大学

研究代表者

飯野 健二  秋田大学, 医学部, 講師 (30400485)

研究分担者 渡邊 博之  秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80323145)
伊藤 宏  秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10232464)
小山 崇  秋田大学, 医学部, 助教 (50508273)
キーワード心房細動 / イオンチャネル / TRPチャネル
研究概要

1心房細動の電気生理学的成因としては(1)発症因子(2)維持機構の2つの要素にわけて考えることができる。(1)発症因子としては、肺静脈心筋細胞を起源とする期外収縮が注目されている。その細胞内メカニズムの一つとして肺静脈心筋細胞内リアノジン受容体の機能異常の報告があるが、高血圧性心疾患による拡張障害などがある際には、左房、肺静脈の圧負荷が肺静脈心筋細胞の伸展刺激活性化イオンチャネルを開口し、細胞内へのCa流入によるCa過負荷を引き起こす。その結果として一過性内向き電流の活性化、Triggered activityによる異常興奮が発生し肺静脈内のリエントリーを形成し心房細動発症へとつながる機序が想定されている。我々は、「左房負荷がかかる病態では、TRPチャネルタンパクから構成されるSACやNSC(Ca)の活性化が起こり、それが心房細動の発症要因となる」という仮説をたてた。我々は、SACの分子候補として心肥大の際に発現しているTRPC1の関与,および心房圧上昇にTRPC6, 心肥大におけるCa過負荷にTRPM4が関与する可能性を報告した。また最近心肥大モデル心房筋でのTRPM4発現亢進を報告されたが、これは私達の仮説を支持するものである。圧負荷がかかる状態では、心筋細胞の肥大が引き起こされ、TRPC1の発現亢進が認められる。したがって拡張期有意にCa流入が引き起こされることとなり、結果的に細胞内はCa over load となる。引き続きTRPM4の発現亢進が起こるため、不整脈の発症要因となりうることを報告した。
また、TRPchannelの心肥大と不整脈の関与につての論文をCurrent topics in Medical Chemistry へ報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

家兎の肺静脈あるいは肺静脈開口部周囲心房筋におけるTRPチャネルの発現状況を検討するための肺静脈心房筋のみ採取や、家兎摘出心にランゲンドルフ下で 任意の心房内圧負荷をかけながら心房高頻度ペーシングをする方法で心房細動を誘発を安定して行うことに技術的修練を要すること

今後の研究の推進方策

心房細動発症に関する研究;肺静脈心筋細胞におけるTRP チャネルの役割を引き続き検討する。(1)家兎の肺静脈あるいは肺静脈開口部周囲心房筋におけるTRPチャネルの発現状況を調べ、SACの候補分子を絞り込む。また、発現が増加していたTRPチャネルの抗体を使って免疫組織学染色し、肺静脈内での局在を確かめる。(2)家兎摘出心にランゲンドルフ下で 任意の心房内圧負荷をかけながら心房高頻度ペーシングをする方法で心房細動を誘発、同モデルを用いて、TRPチャネルのブロッカーや特異抗体の心房細動抑制効果を検討する。(3)SAC 電流の解析―家兎摘出肺静脈を酵素処理し、肺静脈心筋細胞を単離し、同細胞にパッチクランプを適用し、メカニカルストレス(低浸透圧刺激)による SAC 電流や current clamp 法での遅延後脱分極を記録する。それに対し上記(2)で用いたTRPチャネルのブロッカーやTRPC1, TRPC6抗体の抑制効果を検討する。(4)triggered activity の原因となるNSC(Ca)のチャネル分子がTRPM4 から構成されていることを証明するため、単離肺静脈心筋細胞にパッチクランプを行い、電流特性を評価する(TRPM4は細胞内Ca増加で活性化されるが、Caにたいする透過性はないという特性がある)。また、single channel recording を行い、TRPM4特有のチャネルコンダクタンスが記録できるか検証する。
上記、研究の進行の遅れがあるが、引き続き、各検討を進めていく。

次年度の研究費の使用計画

上記研究にあたる費用が必要となる。
実験動物や、培養HEK細胞、TRPチャネル抗体など、実験を遂行するにあたり購入しなければいけない試料。再現性を確かめるため、繰り返し実験を行うとした場合の研究経費が必要。また分子生物学実験や電気生理実験などをおこなうにあたり、それぞれの実験の消耗品も購入する必要がある。
さらに研究調査や成果報告のため国内や国際の学会の出席の旅費相当部分も必要と考える。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Possible Involvement of TRP Channels in Cardiac Hypertrophy and Arrhythmia.2013

    • 著者名/発表者名
      Watanabe H, Iino K, Ohba T, Ito H
    • 雑誌名

      Current Topics in Medicinal Chemistry

      巻: 13 ページ: 283-294

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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