研究課題/領域番号 |
23590258
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
豊田 太 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90324574)
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研究分担者 |
松浦 博 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60238962)
林 維光 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80242973)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 洞房結節 / イオンチャネル / 心臓ペースメーカー |
研究概要 |
心臓の自動性は洞房結節の自発的な興奮よってもたらせるが、その背景となるイオンメカニズムは未だ議論の対象となっている。活動持続性内向きナトリウム電流(Ist)は洞房結節細胞に発現しており、心臓ペースメーカー活動に重要な役割を果たすことが示唆されているが、そのチャネル分子は未だ同定されていない。Istはナトリウム電流であるものの、L型カルシウム電流と酷似した薬剤感受性を示すことから、その分子実体はL型カルシウムチャネル(Cav1.2ならびにCav1.3)のバリアントである可能性がある。これまでに数多くのスプライスバリアントがL型カルシウムチャネルにおいて報告されているが、イオン選択性が変化した(ナトリウム透過性を示す)ものは見つかっていない。そこで、本研究では、RNA編集によりL型カルシウムチャネルのイオン選択性が修飾される可能性について検討した。ラットの洞房結節組織から全RNAを回収し、RT-PCR法によりCav1.2ならびにCav1.3のポア領域をコードする塩基配列を増幅した。これまでに各PCR産物を100サンプル以上クローニングし配列決定を行ってきているが、ゲノムと異なる塩基配列がいくつかみつかるものの、チャネルのイオン選択性(カルシウム/ナトリウム透過性)に影響しうるアミノ酸置換は今のところ見出していない。一方、モルモット洞房結節から様々な形の細胞を単離し、ホールセルパッチクランプ法を用いてIstの発現パターンを解析したところ、Istはペースメーカー細胞に特徴的な形態をもち自動性を呈する細胞に特異的に発現していることがわかった。また、Istの電流密度はL型カルシウム電流のそれと正の相関があることが明らかとなった。このことは、IstとL型カルシウム電流の構造的相関をさらに裏付けるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、L型カルシウムチャネル(Cav1.2ならびにCav1.3)のイオン選択性がRNA編集により修飾を受ける可能性を検討するために、各PCR産物を100サンプル以上クローンニングし、配列決定を行ってきた.これまでにゲノム配列とは異なる塩基置換をいくつか確認できたが、アミノ酸変異をともない、さらにはイオン選択性を変化させうるポア領域のRNA編集は今のところ見つかってきていない。このように当初計画した実験は着実に遂行していは来ているものの、最終目標であるIstの分子基盤に迫る知見は今のところ得られていない。そこで、予想した結果が得られない場合のオプションとして(本研究申請時において計画していたように)、L型カルシウムチャネルとIstとの関連の検証を始めている。モルモット洞房結節細胞においてIstとL型カルシウム電流の機能的相関がみられた事実は、イオン透過性が修飾されたL型カルシウムチャネルのバリアントがIstを担うという本研究の作業仮説を支持するものあり、研究の方向性に大きな誤りがないことが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
L型カルシウムチャネルのイオン選択性がRNA編集により修飾を受ける可能性については、平成23年度と同様にサンプル数を増加させて慎重に検討して行く予定である。一方、Cav1.2ならびにCav1.3遺伝子改変マウスを用いて、両チャネル遺伝子とIstとの関連をより直接的に探る検討を新たに始める。具体的には、1)Cav1.3ノックアウトマウスにおいてIstの機能レベルがどのように変化するか、ならびに2)薬剤(ジヒドロピリジン)感受性を欠損したCav1.2発現マウスにおいてIstの薬剤感受性がどのように変化するか、を検討するものとする。これららの試みにより、Istに関るCavサブユニットが特定できる可能性がある。両遺伝子改変マウスは供与の承諾を得ている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究費は、昨年度に引き続き、PCR、シーケンシング反応キットなどRNA編集を検討する実験試薬類の購入に加えて、遺伝子改変マウスの輸送費ならびに飼育、維持に関る費用、パッチクランプ実験に使用する試薬、備品の購入に充てる予定である。
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