研究課題
洞房結節細胞に特異的に発現する持続性内向きナトリウム電流(Ist)は心臓ペースメーカー活動に寄与することが示唆されているものの、それを担うチャネル分子は同定されていない。平成23年、24年度の研究成果により、L型カルシウムチャネルを構成するCav1.3がIstの誘発に深く関ることが明らかにされたが、Caイオンに高い選択性を示すCav1.3がどのようにしてNa電流であるIstを発生させるか、そのメカニズムは依然不明である。Cav1.3のイオン選択性フィルターに点変異を入れてNa透過性を高めると、Istに類似した電気生理学的特性をもつNa電流を誘発するようになる。この事実は、イオン選択性の変化したCav1.3の構造バリアントが洞房結節に特異的に発現し、Istの誘発に関与する可能性を示唆している。このような考えに基づき、平成25年度は、洞房結節に発現するCav1.3の転写産物を網羅的に同定することを目的とした。ラット洞房結節から全RNAを抽出し、Cav1.3転写産物をPCR増幅した後、次世代シーケンサーを用いてトランスクリプトーム解析を行った。その結果、低い確率(3%未満)ではあるもののRNA編集が示唆されるIQモーチフやイオン選択性フィルターにおける塩基置換をCav1.3遺伝子転写産物上に検出した。これらのレアバリアントがどの程度普遍的に存在するか、さらには、塩基置換の機能的意義ならびにIstとの関連について未だ明らかにする必要があるが、Istの分子機構に対するひとつの可能性を提示することができた。
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