神経伝達物質放出にはカルシウムセンサーであるシナプトタグミンと膜融合能を持つスネア複合体が必須であるが、両者の相互作用は不明である。本研究では、伝達物質放出の分子機構を解明するため両者の相互作用を解析した。ラット脳から可溶化した天然のタンパク質、哺乳動物細胞で発現させた組換えタンパク質、脂質膜に組み込んだ大腸菌で発現させた組換えタンパク質を用いたいずれの結合実験において、スネアに結合したシナプトタグミンは、カルシウムが結合するとスネアから解離した。これらの結果は、カルシウムによるシナプトタグミンのスネア複合体からの解離が伝達物質放出を引き起こすことを示唆する。
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