本研究の目的は、実験データ再現性と数学的解析に適した新たなヒト心筋細胞モデルを構築することであった。ヒト及び動物の心筋細胞モデルを収集して各イオン輸送系のモデル構造・イオン電流動態を比較するためのデータベースを作成し、比較データベースを基に、新たなヒト心室・心房筋細胞モデルを構築した。さらに心臓部位別イオンチャネル遺伝子発現量データを基に、内向き整流カリウムチャネル電流の抑制と過分極活性化陽イオンチャネル電流の導入における固有心筋モデル細胞の分岐構造を解析し、自動能をもつプルキンエ線維・洞結節細胞モデルを構築した。これらの新しいモデルは、ヒト心臓モデル開発のためのモジュールとして有用である。
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