研究課題
糖尿病マウスの脳組織におけるFos発現を網羅的に検索した結果、間歇的低酸素負荷により帯状、梨状皮質、側坐核、底外側ならびに底内側扁桃体核などの大脳辺縁系とその周辺組織において発現量が有意に低下した。さらに、Open-field test や Forced swim test を実施した結果、間歇的低酸素負荷によって活動性の低下やdepressive behavioral 徴候が出現した。以上より、糖尿病患者に睡眠時無呼吸が合併することによって認知症の出現や知的活動の低下が認められる可能性が示唆された。一方、重症心不全患者に合併する周期的無呼吸が予後を悪化させる詳細なメカニズムは不明である。そこで、心筋症ハムスターBio14.6とC57BL/6Jマウスを間歇的低酸素曝露した結果、心筋症ハムスターにおいて、収縮ならびに拡張能の更なる低下が惹起され、微細構造学的にZ帯のstreamingや多彩な変性所見が認められた。さらに興味深いことに、これらの変化は水素ガス(3.05 vol/100 vol)吸入にて有意に予防された。以上の結果は、重症心不全患者における Cheyne-Stokes 呼吸の合併が心機能を悪化させる病態生理学的機序の一部を明らかにすると同時に、水素ガス吸入が有力な治療戦略であることを証明するものであり、臨床的にも極めて重要な知見であると考えられる。さらに、VEGF受容体遮断薬SU5416を前投与した低酸素負荷ラットにおいて、右室毛細血管の変性・破壊に伴うVEGF ( vascular endothelial growth factor) mRNAの過剰発現が、血管平滑筋の肥大・増殖と右室心筋細胞リモデリングを進行させることが明らかとなり、肺高血圧症や右心不全の発症機序に関わる重要な所見が得られた。以上、それぞれの結果について学会発表し、英語原著論文を作成した。
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