研究課題/領域番号 |
23590268
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
岡田 清孝 近畿大学, 医学部, 講師 (20185432)
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研究分担者 |
松尾 理 近畿大学, 医学部, その他 (40030879)
河尾 直之 近畿大学, 医学部, 助教 (70388510)
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キーワード | ペプチド / プラスミノーゲン / 蛋白分解活性 / 創傷治癒 / 塩基性線維芽細胞増殖因子 / 線溶系 / 組織再生 / 線維芽細胞 |
研究概要 |
新規ペプチド (SP) は、線溶系因子staphylokinaseのアミノ酸配列の一部に相当する配列をもとに、我々が合成したもので、線溶系のplasminogen (Plg) に対して結合し、Plg activator (PA)によるPlg活性化を促進する作用を示す。また、最近、線溶系因子は、組織障害後の修復・再生過程において蛋白分解活性の調節や細胞機能の制御などに深く関わることで注目されている。そこで、本研究では、組織障害後の修復・再生過程でのSPによる蛋白分解活性調節機構を解明し、さらにSPの組織再生促進作用としての再生医療への応用的展開の検討を目的とする。 平成24年度は、SPの皮膚傷害後の修復・再生過程に対する効果について、Plgとurokinase-type PA (u-PA)の遺伝子欠損マウス(KO)およびその野生型マウス(WT)における皮膚創傷治癒モデルで検討した。u-PAKOとPlgKOマウスは、WTマウスに比べ治癒遅延が認められた。また、WTマウスに対する塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の投与(徐放性MedGelを使用)は、皮膚創傷治癒を促進させた。さらに、bFGFとSPの併用投与は、その効果を増強した。しかし、SP単独投与では、皮膚の創傷治癒促進効果が認められなかった。また、bFGFの治癒促進効果とSP併用の増強効果は、PlgKOマウスで認められなかった。一方、皮膚損傷治癒モデルでのbFGFの投与は、皮膚抽出液中のu-PA活性を増強した。以上より、SPは、マウス皮膚創傷治癒モデルにおいてbFGF併用投与におけるu-PA発現増強依存性の治癒促進効果をもつと示唆された。 そこで、次年度(平成25年度)は、マウス皮膚創傷治癒モデルにおけるSPとbFGF併用投与による治癒促進効果について皮膚組織切片とその抽出液を用いた細胞および分子の挙動を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
該当年度の研究成果は、当初の研究計画としてたてた到達目標にほぼ達した。SPは、マウス皮膚創傷治癒モデルにおいてbFGF併用投与でu-PA発現増強依存性の治癒促進効果を示した。また、次年度の計画として予定しているマウス皮膚創傷治癒モデルにおけるSPとbFGF併用投与による治癒促進効果について皮膚組織切片とその抽出液を用いる解析がスムーズに行える状態である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画としてたてた到達目標にほぼ達しているので、今後の研究を進める上での問題点はない。当初の計画に従い、来年度は、マウス皮膚創傷治癒モデルにおけるSPとbFGF併用投与による治癒促進効果について皮膚組織切片とその抽出液を用いて細胞および分子の挙動を解析する。これらの解析結果と前年度までの結果を合わせて、SPの組織再生促進作用としての再生医療への応用的発展について考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品費 750,000 円 (組織染色用試薬:500,000円、マウス飼料費:100,000円、その他試薬:150,000円)、謝金等 50,000円 (論文投稿料:50,000円)
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