研究概要 |
前頭前野腹外側皮質第II-III層に細胞外電極を刺入し、記録電極近傍を電気刺激(刺激強度2V)すると、field EPSPsが記録される。 Field EPSPsに対してテタヌス刺激を与えた後に一過性の強い抑制(コントロールの32±11%)が10分程度持続した後、軽度のfiels EPSPsの抑制(コントロールの68±16%)がみられた。GABAA受容体拮抗薬bicuculline 1μM存在下に誘起したfield EPSPsにテタヌス刺激を与えると、テタヌス刺激後に30分以上持続するfield EPSPの長期抑制(コントロールの31±5%)がみられた(n=6)。Bicuculline 1μM存在下に局所電気刺激で誘起したfield EPSPsに対してドーパミン100μMを10分間灌流投与すると、field EPSPsはコントロールの60±10% (n=5)に抑制された。ドーパミンを正常人工脳脊髄液で灌流洗浄すると、約10分でコントロール値に回復するので、そこから、再度ドーパミンを灌流投与し、その灌流終了直前にテタヌス刺激を行うと、30分以上持続するfield EPSPsの長期増強がみられた(コントロールの129±15%, n=5)。Bicuculline 1μM存在下に誘起したfield EPSPsに対して1回目のドーパミン100μM灌流投与でfield EPSPsの抑制をみた後に、テタヌス刺激のみを行うと、長期増強がみられないだけでなく、長期抑制もみられなかった。このことは、ドーパミンを予め投与しておくと、テタヌス刺激で惹起される長期抑制発生機構がドーパミン受容体を介した細胞内情報伝達系により抑制されるか、あるいはドーパミン受容体を介した細胞内情報伝達系がテタヌス刺激で惹起される長期抑制と同じ機構を一部介していることを示唆している。
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