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2012 年度 実施状況報告書

AMPキナーゼが消化管粘膜において細胞増殖および極性形成に果たす役割

研究課題

研究課題/領域番号 23590272
研究機関独立行政法人国立国際医療研究センター

研究代表者

稲垣 匡子  独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (70363588)

キーワードレプチン / AMPK / 消化管
研究概要

本年度は、レプチンシグナルの過剰産生による胃癌発症モデルマウスについてOncogeneに発表した。そしてさらに食餌性肥満モデルを用い、消化管特に胃における粘膜恒常性機構を調べている。高脂肪食摂食マウスでは、ヒト萎縮性胃炎に類似の病態が示されるが、レプチンシグナル欠損であるob/obマウスおよびdb/dbマウスでは、顕著な肥満を示すものの、高脂肪食による胃粘膜過形成および萎縮性は野生型のように顕著ではない。従って、高脂肪食による胃粘膜病態形成および増悪化にはレプチンシグナルが重要であることが示唆される。
また、高脂肪食摂食後、炎症など胃病理像の変化がまだほとんど見られない段階において、腸上皮化生のマーカーであるcdx2などの遺伝子発現が亢進され、それらの変動とレプチン産生の増加が並行して見られるた。これらの結果は、肥満が消化器癌発症の危険因子であることが最近報告されているが、そのメカニズムの1つとしてレプチンシグナルの重要性を示しうるものであると考えられる。
組織過形成や萎縮性など、形態変化には細胞極性のダイナミックな変動が原因の1つである。レプチンシグナルの中でAMPKは、細胞増殖、極性の変化に影響を及ぼす分子として報告されている。高脂肪食のよる胃粘膜の病態形成にAMPK の活性化を中心としたレプチンシグナルの変動を現在各種遺伝子改変マウスを用い解析を行っている最中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

AMPKTgマウスは作製したが、まだライン化には至っていない。
その理由として、目的とするTgマウスがなかなか出産しないことが理由である。
野生型およびob/ob, db/dbマウスを用いた解析は予定通り進めている。

今後の研究の推進方策

レプチンシグナルの亢進が、消化管の中でも特に胃に顕著に影響することを見出した。
今後は、消化管におけるレプチンシグナルの重要性を示すとともに、肥満で増加する食道癌や大腸癌などすでに多く報告されている消化器癌にもレプチンシグナルが深く関与するかどうか、それぞれの消化管組織の特異性にレプチンがどのような制御機構を示すのか明らかにしていきたい。

次年度の研究費の使用計画

消化管におけるAMPKの細胞形態および機能に及ぼす影響について、AMPKTgマウスのライン化を進め、消化管の炎症や腫瘍など病態形成への関与についてさらに解析を進める。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Enhancement of leptin receptor signaling by SOCS3 deficiency induces development of gastric tumors in mice.2013

    • 著者名/発表者名
      Inagaki-Ohara K, Mayuzumi H, Kato S, Minokoshi Y, Otsubo T, Kawamura YI, Dohi T, Matsuzaki G, Yoshimura A
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      doi: 10.1038/onc.2012.540.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] SOCS, inflammation and cancer2013

    • 著者名/発表者名
      Inagaki-Ohara K, Kondo T, Ito M., Yoshimura A.
    • 雑誌名

      JAK-STAT

      巻: 2:3 ページ: e24053-1-10

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Adrenomedullin is a potential therapeutic agent for inflammatory bowel diseases.2013

    • 著者名/発表者名
      Ashizuka S., Inatsu H., Inagaki-Ohara K., Kita T., Kitamura K.
    • 雑誌名

      Current Protein & Peptide Science

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Microbiota-derived lactate accelerates colon epithelial cell turnover in starvation-refed mice.2013

    • 著者名/発表者名
      Okada T, Fukuda S, Hase K, Nishiumi S, Izumi Y, Yoshida M, Hagiwara T, Kawashima R, Yamazaki M, Oshio T, Otsubo T, Inagaki-Ohara K, Kakimoto K, Higuchi K, Kawamura YI, Ohno H, Dohi T.
    • 雑誌名

      Nat Commun.

      巻: 4 ページ: 1654

    • DOI

      doi: 10.1038/ncomms2668.

    • 査読あり
  • [学会発表] SOCS3 欠損によるレプチンシグナルの亢進は胃癌を誘導する2012

    • 著者名/発表者名
      稲垣 匡子, 加藤 誠也, 箕越 靖彦,土肥 多恵子, 松崎 吾朗, 吉村 昭彦
    • 学会等名
      第35 回日本分子生物学会
    • 発表場所
      岡国際会議場・マリンメッセ福岡
    • 年月日
      20121211-20121214
  • [学会発表] 消化管上皮細胞特異的SOCS3欠損マウスの胃腫瘍発症におけるレプチン/レプチン受容体の役割2012

    • 著者名/発表者名
      稲垣匡子、箕越靖彦、土肥多惠子、松崎吾朗、加藤誠也、吉村昭彦
    • 学会等名
      第66回日本栄養食糧学会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      20120518-20120520

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公開日: 2014-07-24  

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