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2013 年度 実績報告書

哺乳類海馬機能の左右差をin vivo生理学で検証する。

研究課題

研究課題/領域番号 23590273
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

篠原 良章  独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (10425423)

キーワード脳の左右差 / 生理学 / 海馬 / 脳波 / 電子顕微鏡 / 解剖学
研究概要

脳の左右差はヒトなどの霊長類では良く知られているが、シナプスレベルから脳機能までの左右差までを包括的に理解しようという試みはほとんどなされてこなかった。私は、今まで1)マウスの海馬でグルタミン酸受容体・シナプス形態に左右差があること、2)行動実験でもマウスの空間学習能力には左右海馬に差があることを示してきた。そしてこの1)と2)とのギャップを埋める試みとして、海馬の脳活動の左右差を直接証明したいと考えた。
そこで、動物を頭の大きいラットに変え、両側海馬CA1領域から脳波記録を行った。脳波は脳細胞の集団活動を反映するため、左右脳の機能差を観測するためには最も直截的な方法である。なお、脳は外部の刺激に依存して活動が変化していくことが考えられるため、ラットを単独で飼育する群(ISOlated; ISO)と玩具などを用意し多頭飼いする(つまり、豊かな環境で飼育する)群(ENRiched; ENR)の2群を用意した。
すると、ISO群では左右のガンマ波には差がなかったが、ENR群では左右ともにガンマ波の振幅が大きくなっており、かつ右海馬の方が左よりガンマ波の振幅が大きくなっていた。ガンマ波は動物が意識的な脳活動を行っている時に現れる脳波であり、海馬ではシナプス入力を反映していると考えられている。すなわち、海馬では外部刺激依存的に機能の左右差が生じると考えられる。また、ガンマ波の左右協調性も調べたところ、ISO群よりENR群の方が左右の協調活動は亢進していた。
このことから、左右は海馬が外部刺激を処理するためにお互いが協力しながらも、右側を優位にするように機能を分担していくことが示唆される。この結果を学術誌に発表した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Experience enhances gamma oscillations and formation of interhemispheric asymmetry in the hippocampus2013

    • 著者名/発表者名
      †Shinohara Y, Hosoya A,†Hirase H
    • 雑誌名

      Nat. Commun

      巻: 4 ページ: 1652

    • DOI

      10.1038/ncomms2658

    • 査読あり
  • [学会発表] “Experience-dependent enhancement of gamma oscillations in the rat2013

    • 著者名/発表者名
      Shinohara Y
    • 学会等名
      NIG Symposium 2013
    • 発表場所
      三島
    • 年月日
      20130924-20130924
    • 招待講演
  • [学会発表] Experience enhances gamma oscillations and formation of interhemispheric asymmetry in the hippocampus2013

    • 著者名/発表者名
      Shinohara Y, Hosoya A, Hirase H
    • 学会等名
      日本神経科学会 2013
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130620-20130623
  • [学会発表] Left-right asymmetry of the rodent hippocampus2013

    • 著者名/発表者名
      Shinohara Y, Hosoya A, Hirase H
    • 学会等名
      Ducog 2013
    • 発表場所
      Dubrovnik(Croatia)
    • 年月日
      20130515-20130519
  • [学会発表] Left-right asymmetry of the rodent hippocampus2013

    • 著者名/発表者名
      Shinohara Y
    • 学会等名
      IST seminar
    • 発表場所
      Klosterneuburg(Austria)
    • 年月日
      20130514-20130514
    • 招待講演
  • [図書] Clinical Neuroscience2013

    • 著者名/発表者名
      篠原 良章, 平瀬 肇
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      中外医学社

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公開日: 2015-05-28  

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