• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

マクロピノサイトーシスによる反発性軸索誘導機構の解明と脊髄損傷治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23590274
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

樺山 博之  独立行政法人理化学研究所, 発生神経生物研究チーム, 研究員 (10332339)

キーワード反発性軸索誘導 / マクロピノサイトーシス / syntaxin / 成長円錐
研究概要

神経突起伸長は神経回路形成に重要な過程であり、エクソサイトーシスによる細胞膜面積の増大により達成されると仮定されている。一方、突起伸長の抑制は、エクソサイトーシスの抑制により達成されると信じられている。しかし、研究代表者は神経突起伸長の抑制がエクソサイトーシスの抑制ではなく、マクロピノサイトーシスという特殊なエンドサイトーシスによる細胞膜の大規模な細胞内への回収により達成されるという、今までの仮説を覆す発見をした。しかも、神経回路形成に重要であるカルシウムや反発性ガイダンス分子がマクロピノサイトーシスを誘導することで突起伸長を抑制している事を明らかにした。本研究ではそのマクロピノサイトーシスによる新規な反発性軸索誘導機構を明らかにすることを目的とする。平成23年度に、(1)Neurotoxin C1によるvacuole形成はマクロピノサイトーシスによって形成され、syntaxin1Bがマクロピノサイトーシスの負の制御因子である。(2)semaphorin3Aシグナリングやephrin-A2により、syntaxin1Bの発現が成長円錐で抑制される事も明らかにし、さらにsyntaxin1の過剰発現によって、semaphorin3Aによるマクロピノサイトーシスが抑制され、成長円錐のコラプスも抑制される事も明らかとなった。(3)Neurotoxin C1やsemaphorin3Aによる成長円錐のコラプスはマクロピノサイトーシスの特異的阻害剤のアミロライドにより抑制されることも明らかにした(Journal of Neuroscience.2011)。平成24年度は、syntaxin1B 結合分子を同定し、この分子の活性化によってマクロピノサイトーシスが誘導されること、さらにその誘導はsyntaxin1Bの過剰発現によって抑制されることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

既に本研究により、誌上発表を行うことが出来た(Journal of Neuroscience.2011)。マクロピノサイトーシスの阻害剤であるアミロライドやアミロライド類似体はナトリウムープロトン交換体(NHEファミリー)の特異的阻害剤である。これまでに、反発性軸索誘導分子がマクロピノサイトーシスを誘導することで、成長円錐の退縮を誘導していることを明らかにしている。これらのことは、反発性軸索誘導分子は、細胞内のpHを変化させることでマクロピノサイトーシスを誘導している可能性を示唆している。すなわち、これまで全く知られていなかった、「プロトンシグナリングによる反発性軸索誘導機構の解明」という新しい研究領域の開拓につながっている。

今後の研究の推進方策

反発性軸索誘導分子が、ナトリウムープロトン交換体(NHE)を活性化し、細胞内pHを変化させることでマクロピノサイトーシスを誘導しているかを調べるため、成長円錐に発現するNHEアイソフォームを同定する。アイソフォーム特異的抗体を入手し、免疫組織化学的に解析を行う。さらに細胞内pHをモニターするためのpH感受性GFP変異体を用いたイメージング解析法を確立し、反発性軸索誘導分子がNHEを介してpHを変化させるかを調べる。また、syntaxin1Bがマクロピノサイトーシスの負の制御因子であることを明らかにしているため、今後はsyntaxin1Bがどのようにマクロピノサイトーシスを抑制しているかを調べるため、syntaxin1B結合蛋白の機能解析を進める。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi