研究課題/領域番号 |
23590275
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
山越 智 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 主任研究官 (00212283)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | LECT2 / シグナル伝達 / 生理活性 |
研究概要 |
1)競合阻害による特異性の検討:発現クローニングで得られたレセプター候補遺伝子発現細胞を用いて動物細胞由来組換え体マウスLECT2の過剰存在下で、融合蛋白質LECT2-Fcの結合が、競合阻害されるかどうかフローサイトメトリーにて調べた、その結果、競合阻害が観察されずさらに蛍光強度が上がることがわかった。2)ビアコアシステムにより分子間相互作用を調べた。:大腸菌で組換え体ヒトLECT2とヒトX蛋白質を作製した。LECT2蛋白質をセンサーチップに固定し、ヒトX蛋白質との相互作用を解析した結果、特異的相互作用が確認された。LECT2およびXの立体構造から、結合に関わる部位を推定しXの変異蛋白質を作製した。特定の100アミノ酸残基程度のペプチド配列を欠失変異蛋白質ではLECT2との特異的結合が観察されなくなった。また、そのペプチド配列を大腸菌のマンノース結合蛋白質のN末端に結合させると、LECT2との特異的結合が見られた。3)LECT2の新たな標的細胞を用いた生理活性の探索:X蛋白質を高発現する初代培養細胞2種類に対してLECT2を処理しサイトカインの発現への影響、細胞の動きに対する影響を調べた。4)LECT2のin vitroオリゴマー化の発見:LECT2がアミロイド蛋白質の1つとして報告されている。その原因と考えられるLECT2のオリゴマー化がin vitroで起きることを見出し、それは、EDTA等キレート剤で促進され、亜鉛処理により阻害された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度からの研究項目の1つとして「LECT2レセプターを介した細胞内シグナル伝達系の解析」を計画していたが、LECT2とX蛋白質との相互作用を解析する上で、LECT2の蛋白質分子としての性質の解析をする必要が生じたため、研究計画に加えた。その結果、LECT2とX蛋白質の相互作用を解析する上で新たな重要な知見を得ることが出来た。そのため今年度計画していた「LECT2レセプターを介した細胞内シグナル伝達系の解析」は次年度以降に解析を行うこととした。その他今年度に計画した項目は、計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
申請書に記載された内容の変更はなく、当該年度に計画された「LECT2レセプターを介した細胞内シグナル伝達系の解析」は次年度から実行することとし、それ以外は計画書に従って研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.LECT2レセプター候補の検証:当該年度の解析を基に、さらに様々な条件でビアコアシステムにより分子間相互作用を調べる。2.LECT2の新たな標的細胞を用いた生理活性の探索:X蛋白質を高発現する初代培養細胞、株化培養細胞を使い、LECT2の新たな生理活性を調べる。3.LECT2レセプターを介した細胞内シグナル伝達系の解析:X蛋白質を発現している初代培養細胞、株化培養細胞を使い、リン酸化酵素、G蛋白質等に対する阻害剤を用いて関係するシグナル伝達系について解析する。4.LECT2レセプター複合体の存在の可能性を調べる。:LECT2とX蛋白質を用いて、第3の蛋白質の存在の検討およびその同定を行う。5.X蛋白質の関与する疾患におけるLECT2の効果:X蛋白質の異常により発病する疾患が報告されているのでin vitro,in vivoで解析する。
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