研究課題/領域番号 |
23590276
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
山田 順子 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30334965)
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研究分担者 |
冨山 誠彦 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40311542)
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キーワード | GABA / 性差 / トニック抑制 |
研究概要 |
1.雄マウスにおける扁桃体外側核ニューロンのトニック抑制の薬理学的検討;前年度に引き続きこれまでに申請者らが確立した、大脳皮質錐体細胞でのGABA作動性トニックカレント研究の手法を生かし雄マウスの扁桃体外側核ニューロンのGABA作動性介在ニューロンにおけるトニック抑制を検討した。GABA受容体のダウンレギュレーションと行動変化が確認されているPRIP1-KOマウスと野生型マウスを用いて両者を比較した。脳スライスを作成しスライスパッチクランプ法によりGABA作動性トニックカレントを記録した。GGABA受容体サブユニット選択的アゴニスト diazepam, gaboxiadol, ethomidate ethanol及びα5サブユニット選択的インバースアゴニストL655708を用い、トニックカレントにどのサブユニットがかかわっているかを薬理学的に解析した。結果、野生型、KOともにトニックカレントは観察されたが、KOは野生型に比べトニックカレントが減少していた。現在サブユニットの変異の特異性を検討中。 2. western blot法で記録細胞のGABAA受容体サブユニットの膜表面でのタンパク発現を調べたが、有意差は見られなかった。 3. 野生型、PRIP1-KOの行動解析を行った。オープンフィールドテストではKOマウスがオープンフィールド内での滞在時間の延長がみられた。高架式十字迷路のテストを現在解析中。 4.雌マウスの発情期、非発情期モデルを作成しスメアテストによる性周期コントロールの確認を行い、ホルモン投与量、期間を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.雄マウスにおける扁桃体外側核ニューロンのトニック抑制の検討:野生型、GABAA受容体の活性に変異がみられるPRIP1-KOマウスの扁桃体におけるトニックカレントの変化解析し、その違いを見出した、さらにオープンフィールドテストによる行動解析の結果野生型とPRIP1-KOマウスで不安様行動の優位な差を見出した。これは動物個体レベルとシナプスレベルでの両者の違いと一致する可能性があり、さらなる薬理学的検討への可能性が広がった。 2.GABA受容体サブユニット遺伝子発現の解析:ウエスタンブロット法による細胞膜上の受容体のタンパク発現に差はみられなかった。単一細胞レベルでの検討が必要と考えられる。 3.雌マウスの発情期、非発情期モデルの作成。卵巣切除マウス、ホルモン投与による発情期非発情期のコントロールを膣スメアにより確認し、性周期コントロールが行われていることを確認した。現在オープンフィールドテスト、高架式十字迷路テストによる行動解析を初めている。 1,3は予定通り達成しており、1に関してはPRIP1-KOと野生型との間に差が生じ興味深い結果が得られた。引き続き次年度に継続し解析する予定である。2.に関しては期待した結果は得られなかったがほかの方法で検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.雌マウスの性周期変動による行動解析及び扁桃体ニューロンのトニックカレントの変化:前年度と同様の手技で、雌マウスの発情期、非発情期モデルにおける扁桃体ニューロンでのトニックカレントの変化をパッチクランプ法を用いて生理学的・薬理学的に検討する。また、引き続き行動解析も行う。 2.GABA受容体サブユニット遺伝子発現の解析:前年度の結果から単一細胞レベルでの受容体サブユニット発現の解析が必要になったため、1)で記録した細胞の細胞質を回収し、single-cell RT PCR 法により記録細胞のGABAA受容体各サブユニットのmRNA発現を解析し、発情期、非発情期で比較検討する。また、前年度の実験結果からPRIP-1KOと野生型(雄)で興味深い違いがみられるため、雄に関しても同様の解析を行う。 3.変化の見られたサブユニット特異的なアゴニスト、アンタゴニストを投与し、行動実験への影響を解析する。 これらの結果をまとめて学会で発表し論文として発表する。 。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費はマウス購入費、試薬、混合ガス、PCRキット・酵素などの消耗品代と日本神経科学会、北米神経科学会、日本生理学会発表への旅費に充てる。
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