研究課題
本年度はこれまでの研究結果と研究推進方策に従い、個体と細胞レベルで以下の二点を検討した。1)自発運動によるラット唾液腺のアクアポリン(AQP)の誘導:運動トレーニングと暑熱馴化には交叉適応がある。本年度はラットの自発運動によるAQP1とAQP5の発現の変化を検討した。ウィスタ-系雄ラットを環境温24℃、明暗周期 12:12時間、自由摂食・摂水下、輪回しつきケージで飼育した。ラットを自発運動が可能な運動群と、運動ができない対照群に分けた。40日間の運動期間後、運動群と対照群の顎下腺のAQPのタンパク発現量を検討した。自発運動量の個体差が大きく、運動群をさらに低運動群と高運動群に分けた。顎下腺組織のAQP1のタンパク発現量は対照群に比べ両運動群でやや大きかった。AQP5やAQP誘導に関与するTRPV1, V3 やNa-K ATPaseのタンパク発現量も両運動群と対象群で差は無かった。ピロカルピンによる唾液の分泌量は低運動群でやや高かった。輪回し自発運動はAQPの誘導と唾液分泌に有効である可能性も考えられる。2)高温での細胞培養によるAQP誘導関連因子の発現の変化:これまでの検討によりAQPの誘導にはhypoxia inducible factor-1α(HIF-1α)が関与すること、ならびに、高温自体がAQPを誘導する可能性が示唆されている。ここでは、mouse fibroblast cellを用い、HIF-1αおよびAQPの膜移動に関与するheat shock protein(HSP)の発現が高温によりいかに影響される科検討した。細胞を37.0℃、5% CO2下あるいは39.5℃、5% CO2下で60日間培養した。高温での培養によりHIF-1αおよびHSP40、70、90のタンパク発現量が増加した。温度刺激が直接AQPを誘導する系を賦活化する可能性が示唆された。
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Cell Biochem Biophys
巻: in press ページ: online
10.1007/s12013-014-9912-9