研究課題/領域番号 |
23590280
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大塚 曜一郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70302403)
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キーワード | 国際交流研究(オーストラリア) / オレキシン / 生体リズム |
研究概要 |
ラットにおいて体温、褐色脂肪組織温、心拍数、活動量が覚醒レベルの増加を伴って一過性に増加することが報告されている。この一過性の増加は約100分周期であり、超日生体リズムと呼ばれている。これらは全て同期していることから、反射などの単なる二次的変動ではなく、中枢で作られる合目的な生体リズムと考えられる。しかしながら、超日生体リズム形成に関わる中枢神経機構は不明である。そこで本研究の目的は、‘超日リズム’の脳内発生機構を解明することである。具体的には、覚醒・睡眠制御系で重要な役割をもつ脳内オレキシン神経が、‘超日リズム’形成にも関与している可能性を、遺伝子改変マウスを用いて検討することである。平成23年度は野生型マウスでもラットと同様な‘超日リズム’が存在することを明らかにした。 オレキシン欠損マウスでは体温と活動の‘超日リズム’が減弱している一方で心拍数の‘超日リズム’は野生型マウスと同様に見られた。平成24年度はオレキシン神経細胞破壊マウスで超日リズムを検討した。その結果、オレキシン神経細胞破壊マウスではオレキシン欠損マウスと同様に体温と活動の‘超日リズム’が減弱し、心拍数の‘超日リズム’は減弱していなかった。以上の結果は脳内オレキシン神経が体温と活動の‘超日リズム’の発現に重要な役割を果たしている一方で‘超日リズム’の発生源ではないことを示唆する。これまでの研究成果は国内外の種々の学会で発表した(日本睡眠学会、Collaborator Days 2012、日本生理学会大会、自律神経研究会、九州脳と高血圧研究会)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の計画は1)オレキシン神経細胞破棄マウスの超日リズムの解析、2)光受容タンパク質を発現したマウスの系統の入手繁殖の2つであった。オレキシン神経細胞破棄マウスでの種々の生理パラメータでの記録にも成功し、脳内オレキシン神経が体温と活動の‘超日リズム’の発現に重要な役割を果たしていることを示唆するデータが得られた。 光受容タンパク質を発現したマウスを連携研究者の山中博士より入手し、繁殖計画が順調に進んだ。また、本研究に密接に関連する課題が生理学研究所の共同計画研究に採択され、光受容タンパク質を発現したマウスの予備実験を実施することができた。さらに、当初の計画から発展させオーストラリアのフリンダース大学のBlessing教授との共同研究を実行し、オレキシン神経細胞破壊ラットの超日リズムの解析を実施することができた。以上のことから、研究は計画通り順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の計画通り、オレキシン神経特異的に光受容タンパク質を発現したマウスを用い、光操作によるオレキシン神経活動の制御の実験を開始する。また、引き続きオーストラリアのフリンダース大学のBlessing教授との共同研究を推し進め、代謝測定装置を用いオレキシン神経細胞破壊ラットの代謝の超日リズムを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費は主に1)光受容タンパク質を発現したマウスの系統維持動物の系統維持、特殊餌、検査、遺伝子型判定に係る経費 2)脳組織の解剖学的検討に係る経費、3)トランスジェニックラットを用いたフリンダース大学のBlessing教授との共同研究のための申請者あるいは研究協力者の渡豪旅費、4)申請者あるいは研究協力者の学会参加費、5)論文投稿に係る経費である。
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