研究課題/領域番号 |
23590281
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
高橋 和巳 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90325952)
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研究分担者 |
小山 純正 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (80183812)
井樋 慶一 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (60232427)
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キーワード | 睡眠 |
研究概要 |
本研究課題では、イムノトキシンを用いた選択的細胞破壊技術を青斑核ノルアドレナリンニューロンに適用し、ドーパミンβ-水酸化酵素の遺伝子プロモーターの制御下に、ヒトインターロイキン-2受容体αサブユニット(IL-2Ra)を発現するトランスジェニックマウス青斑核に組換え体イムノトキシン(IL-2Raを選択的に認識する抗体可変部と細菌毒素の融合タンパク質)を注入することによって、LCニューロンを選択的に破壊する。この破壊による睡眠・覚醒行動と睡眠系・覚醒系の各ニューロン群の活動パターンを調べることで睡眠・覚醒の神経機構における青斑核ノルアドレナリンニューロンの役割と重要性をさらに明らかにする。これまでのところ視索前野、後部視床下部においてイムノトキシン注入前後の睡眠・覚醒時におけるニューロン活動記録を行ったが、覚醒特異的ニューロン及び睡眠特異的ニューロンのいずれについても各状態での平均発火頻度、変動係数について青斑核ノルアドレナリンニューロン破壊の影響は観察されなかった。同時に行っている自由行動下での脳波・筋電図記録による睡眠解析では、青斑核破壊により一日における覚醒の総量に変化はなかったが、各覚醒状態の持続時間が短くなっていた。このことは青斑核ノルアドレナリンニューロンが覚醒の維持に重要であることを示唆している。さらに睡眠中に聴覚刺激を与えて覚醒反応を起こさせたところ、頸筋の筋電活動にノルアドレナリンニューロン破壊による影響が見られたが、現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ニューロン活動に大きな変化は見られなかったので、脳波・行動実験を並行して行っている。
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今後の研究の推進方策 |
ニューロン活動については、例数を増やしながら、さらに詳細な解析を行う。聴覚刺激による覚醒反応の実験では結果が出つつあり、例数を増やしていく。聴覚刺激以外の感覚刺激についても実験を行い、視床の中継ニューロンの活動の変化を記録・解析することを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
備品費、消耗品費、動物飼育費、調査費、学会参加費、論文投稿費として使用する。 備品としては電気刺激装置や振蕩機などを購入して、覚醒反応を促すことに用いる予定である。
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