研究課題/領域番号 |
23590283
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
田丸 輝也 東邦大学, 医学部, 講師 (80291706)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | circadian rhythm / phosphorylation / transcription factor / signal transduction / bioluminescence / Heat shock / cancer / clock |
研究概要 |
概日システムは、分子時計が支配するゲノムワイドな生命過程の統合制御系である。その機能不全は睡眠障害、メタボリックシンドローム、癌、神経・精神疾患などの憎悪に関わっている。申請者は、時計制御転写因子BMAL1を日周性にリン酸化するプロテインキナーゼとしてCK2を同定し、BMAL1の修飾による転写制御が哺乳類概日システムに必須の過程であることを解明している(Nat Struct Mol Biol 2009, Nature 2007, Science 2005)。本研究の目的は、概日システムを司る細胞内情報伝達系(日周性シグナロソーム)、とくにCK2をコアとした蛋白質リン酸化オシレータによる時間特異的・周期的な統合制御システムの構成と生理的意義を解明することである。具体的には、I) CK2によるリン酸化がBMAL1の日周性修飾を統合的に制御する。II) CK2をコアとした蛋白質リン酸化オシレータの活性振動機構を明らかにする。I,IIで得られた知見を土台にして、III) 蛋白質リン酸化オシレータが制御する日周性シグナロソームの生理的意義として、発癌プロセスへの関与を明らかにする。IV) 時計同調系からの蛋白質リン酸化オシレータへの入力系の1つとして熱ショック応答系への関与を明らかにする。本年度は、CK2をコアとした日周性リン酸化オシレータが概日システムの制御において統合的な役割を果たしていることを解明した。また、CK2活性の日周期変動機構に時計制御蛋白質との周期的相互作用が関与していることを示した(投稿準備中)。 また、熱ショック刺激(PLoS ONE 2011)、あるいは癌などの様々な疾患のプロセスに関与する活性酸素による酸化的ストレス刺激により、概日リズム同調が起き、その応答に概日システムと熱ショック応答系のクロストークが関与していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、概日システムを司る細胞内情報伝達系(日周性シグナロソーム)、とくにCK2をコアとした蛋白質リン酸化オシレータによる時間特異的・周期的な統合制御システムの構成と生理的意義を解明することである。当初、計画していた上記4つのテーマのうち、i) はほぼ完了、ii)についてはおおむね完了した。つまり、CK2をコアとした蛋白質リン酸化オシレータの構成をかなり解明することができた。iv)についても、ある程度の成果を得て原著論文を発表し、iii)を含めて、日周性シグナロソームの構成・生理的意義の解明に向けて、今後の研究の方向付けがある程度できた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに以下の研究についてはかなりの成果を挙げた、I) CK2によるリン酸化がBMAL1の日周性修飾を統合的に制御する。II) CK2をコアとした蛋白質リン酸化オシレータの活性振動機構を明らかにする。今後をIIをさらに詳細に解明するとともに、I,IIの成果を基盤にして、III) 蛋白質リン酸化オシレータが制御する日周性シグナロソームの生理的意義として、発癌プロセスへの関与を明らかにする。IV) 時計同調系からの蛋白質リン酸化オシレータへの入力系の1つとして熱ショック応答系への関与を明らかにすることに重点を移して研究を推進する。具体的には、a) 活性酸素による酸化的ストレス刺激により、概日リズム同調が起きる為の分子基盤を詳細に解明する。例えば、概日システムと熱ショック応答系のクロストークが関与していることが示唆されているが、その制御機構として、CK2によるHSF1, BMAL1のリン酸化による制御機構を解明する。b) 酸化ストレスによる概日リズム同調による細胞内シグナルで制御される細胞死制御系、抗酸化系、DNA修復系、エピゲノム制御系の構成を解明し、日周性シグナロソームの生理的意義、発癌の初期過程への関わりを解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
一般試薬 500000(円) 遺伝子用試薬 200000(円)細胞培養用試薬 200000(円) 理化学材料 100000(円)動物実験関連 100000(円) 計 1100000(円)
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