研究課題/領域番号 |
23590287
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研究機関 | 浜松大学 |
研究代表者 |
藤木 通弘 浜松大学, 保健医療学部, 教授 (80334928)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 誘発電位 / 麻酔深度 / 睡眠 |
研究概要 |
1. 具体的内容:本研究の目的は、二連発の感覚刺激を与える事で得られる大脳誘発電位の振幅の比からその感覚系全体の不応期を推定し、それを神経活動の新たな指標として用いる事で、神経活動の変化に伴って変動する麻酔深度や睡眠深度の評価方法に利用出来るかどうかを確かめる事である。交付申請書に記載した平成23年度の研究実施計画に基づいて以下に平成23年度の実際の進捗状況を記載する。(1)実験系の確立について:ほぼ終了させる事が出来た。すなわち麻酔下で実験動物(ラット)の末梢感覚神経を電気刺激し、頭蓋骨に留置したねじ電極から大脳誘発電位を記録する実験系については確立する事が出来た。ただし、当初使用する予定であったAD変換装置が故障し新たに購入する必要があったことは物品購入計画の変更を余儀なくさせた。また、学会発表の際に「感覚系の中継点である視床における記録あるいは刺激も検討する必要があるのでは」という指摘を受けたが、平成24年度以降の計画に盛り込む必要があると考えている。(2)麻酔深度と誘発電位の振幅比の変動との関連の検討について:本実験で使用する麻酔薬であるイソフルランを本大学で使用するための「向精神薬試験研究施設設置者登録」が平成23年10月に許可され、その後実験を開始する事が出来たが、実験開始が遅れたためまだ例数が少なく平成24年度以降も継続して行う必要がある。2.意義および重要性:残念ながらまだ実験目的を支持するような結果は得られていないが、本研究を推進するための実験系をほぼ確立出来た点については平成23年度の重要な成果であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書に記載した平成23年度実験計画のうち実験系の確立は十分行えたが、先にも述べたように、本実験で使用するイソフルランを使用するための「向精神薬試験研究施設設置者登録」の許可を受けるために時間がかかり、平成23年度中に行う予定であった実験のうちの一部の例数が少なく、一定の結論を出すには至っていないため「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は平成23年度から持ち越した課題について先に実験を行い、一定の結論を得たいと考えている。また、学会発表のおりに指摘を受けた視床レベルでの記録あるいは刺激についても検討課題として盛り込みたいと考えている。したがって当初の計画を全体的にずらし、当初平成24年度に行う予定であった「睡眠覚醒状態の変化に伴って誘発電位の振幅比の変動が認められるかどうかについての検討」の開始は、平成24年度後半から平成25年度にかけて行うように変更したい。もともと平成25年度に本研究計画の進行状況の調整を行う予定であったので、上記のような変更を行っても計画遂行上の大きな問題はないものと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
先に述べたように、当初使用予定であったAD変換装置が壊れたため新たに購入しなくてはならず、購入予定としていた電気刺激装置の購入に必要な予算が確保できず購入を見合わせたため平成23年度の予算に残が生じる結果となった。平成23年度は購入予定としていた電気刺激装置と同等の装置を急遽他大学より無償で貸与していただく事でなんとか対応したが、平成24年度は予算内で購入可能な代替品の購入を検討する必要があると考えている。また、視床レベルでの記録あるいは刺激を新たな研究課題として追加することに伴う電極などの消耗品の購入なども、予算内で調整して行っていきたいと考えている。
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