研究課題
視交叉上核発振細胞間の同期現象と視交叉上核に現れる位相波現象の機序の解明のためにラット視交叉上核のスライス培養を用い、Forskolinを加えて恣意的に同期を破壊する方法を開発した。その技術的進展を基盤とし、非同期となった視交叉上核における微少領域の解析によって周期の異なる2領域を視交叉上核背内側部でつきとめることができた。内側の短周期領域(short period region; SPR)、それより外側の周期の長い領域を(long period region; LPR)とした。この時点でこのSPRが位相波を作り出す仕組みを明らかにするために数値的シミュレーションにて位相波の再現に成功した。振動子間の強度を変えて検討をさらに加えると、振動子間にある程度以上の結合強度がないと位相波が現れないことが明らかになった。また、短周期領域をランダムに配置しても生体で見られるような内側から外側に至る位相波は現れないことも明らかにした。別の方向性での成果があった。長日条件と短日条件でin situ hybiridizationを用いて、Per1遺伝子の発現領域を時系列で観察すると、SPR、LPRに相当する領域間の位相差が拡大する所見を得た。視交叉上核内部にて、日長情報が認識されていることを意味する。よって、このSPR, LPRが日長を認識する振動子であるmorning oscillator, evening oscillatorであることを示唆している。最終的に成果論文(Koinuma et al. 2013 EJN)の発表にいたった。また、本プロジェクトを中心として著作を発表した。また、多くの学会におけるシンポジウム、研究会おける招待講演などにおいて成果を発表することができた。おおむね目標を達成できたと考える。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)
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