研究課題/領域番号 |
23590293
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
千田 大 埼玉医科大学, 医学部, 客員講師 (90312842)
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研究分担者 |
藤岡 仁美 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (50410064)
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キーワード | HPA axis / ストレス / 生殖 / 遺伝子改変マウス |
研究概要 |
申請者らは、独自に開発したACTH受容体遺伝子改変マウス(MC2R KOマウス)がグルココルチコイドによるネガティブフィードバックが起こらず、定常状態で視床下部におけるCRH遺伝子が慢性的に強発現しており、慢性ストレスによる性周期遅延を示す動物モデルとして、有用であることを明らかにして来た(Matsuwaki et al. Endocrinology 2010)。CRH受容体アンタゴニスト投与によって、性周期遅延が回復する事を報告したが、その分子機構は必ずしも明らかではない。分子機構を解明する事で、新たな治療標的分子の同定が期待される。 MC2R KOマウスでは、視床下部GnRH発現が抑制されている事を見出している。MC2R KOマウスでは、グルココルチコイドによるネガティブフィードバックの欠如がGnRH発現抑制を引き起こしていると考えられる。グルココルチコイドによるネガティブフィードバックが起こらない事によって、視床下部CRH遺伝子が強発現している事を報告してきた。本年度は、CRH関連遺伝子の影響を調べるため、Ucn1、2、3蛋白発現を免疫染色によって検討した。Ucn1、3は、発現を検出する事が出来たが、MC2R KOマウスにおける発現レベルは、野生型と有為な差が見られなかった。Ucn2の発現は、検出する事が出来なかったので、新たな抗体を検討する予定である。 ラットにおいて、ストレスによるLHパルス抑制を解除する事が知られているレプチン、βエンドルフィンブロッカーがMC2R KOマウスの性周期回帰遅延を回復させることを明らかにした。レプチンおよびβエンドルフィンとHPA軸との関係について、明らかにするために研究を推進する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レプチン、βエンドルフィンブロッカーがMC2R KOマウスの性周期回帰遅延を回復させることを明らかにしており、MC2R KOマウスは、性周期治療薬のスクリーニングに役立つ動物モデルである。実際に、新たな薬剤のスクリーニングを進めており、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、MC2R KOマウスを用いて、1、性周期回帰遅延の分子機構を明らかにする事、2、新たな治療標的分子候補の探索と治療薬の効果の検討を進めて行く。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物の飼育経費、解析経費、試薬代、学会参加費、研究補助員の経費に使用する予定である。
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