研究課題
プロスタノイドは、プロスタグランジン (PG) とトロンボキサンよりなる生理活性脂質であり、多種類のその受容体が心臓に発現している。しかし、心疾患の病態形成におけるプロスタノイドの役割には不明な点が多い。本研究の目的は、プロスタノイドの虚血心臓保護作用の情報伝達系を解明することにある。前年度、心臓虚血-再灌流後のサンプルでおこなったDNAマイクロアレイにおいて、発現量に変化の認められた遺伝子について、リアルタイムRT-PCRによる定量をおこなった。その結果、アポトーシス関連遺伝子の発現が有意に変化していた。同時期の心臓サンプルについてウェスタンブロットをおこなったところ、COX-1蛋白の発現は認められたが、虚血前後での変化はなかった。一方、COX-2蛋白の発現は、虚血前後ともに確認できなかった。また、HIF-1alpha、リン酸化ERK、リン酸化p38 MAPKなどの虚血関連蛋白質の発現をウェスタンブロットで解析したが、今回おこなった条件下では、野生型と遺伝子欠損マウスで発現量に違いを認められなかった。また、成獣マウス心臓より単離した心筋細胞、非心筋細胞の蛋白発現を解析するため、成獣心筋細胞の長時間培養系の確立をおこなった。成獣マウス心筋細胞は、長時間の培養が困難であったが、blebbistatin等を培養系に加えることにより24時間以上の培養を可能とし、蛋白発現変化などの解析を可能とした。
2: おおむね順調に進展している
前年度マイクロアレイによりmRNA発現に変化の認められた遺伝子についてRT-PCRでそのいくつかは有意に発現変化していることを定量した。また、成獣マウス心臓より単離した心筋細胞、非心筋細胞の蛋白発現を解析するため、成獣心筋細胞の長時間培養系を確立した。
心臓虚血-再灌流時に変動する物質について、蛋白質アレイを用いた解析を行う。変動が認められた因子について、心筋細胞、非心筋細胞のいずれで機能しているのか、心臓より心筋、非心筋細胞を単離して解析を行う。
該当なし
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Circulation Journal
巻: 25 ページ: 1053-1062
10.1253/circj.CJ-12-0897
Molecular and Cellular Endocrinology
巻: 362 ページ: 176-182
10.1016/j.mce.2012.06.006
日本臨床
巻: 70 Suppl.8 ページ: 231-235