研究課題
動脈硬化症の要因として、脂肪代謝の異常に伴う血管平滑筋の形質転換が注目されている。血管平滑筋は血管の中膜を形成し、通常は血管収縮や弾力性などの機能を果たしてが、この収縮型の血管平滑筋が形質転換により、収縮能のない合成型細胞に変化し、活発に増殖を繰り返しながら中膜から内膜へと遊走する。遊走した平滑筋細胞は、最終的には動脈内膜に肥厚を形成し、その患部は動脈硬化症により狭窄そして閉塞する。ところが、この動脈硬化症を引き起こす血管平滑筋細胞の形質転換の分子メカニズムに関してはいまだに良くわかっていない。タバコ煙に含まれるニコチンがプラークへの血管平滑筋細胞の遊走を促進する事から、我々はニコチンが血管平滑筋細胞の細胞遊走能をどの様な作用機序で促進させるかに関して調べる為に、ニコチンに暴露した血管平滑筋細胞の網羅的遺伝子発現プロファイルをDNAマイクロアレイおよびリアルタイムPCRで、また培地中に放出されるエクソソームに含まれるマイクロRNAをマイクロRNAアレイにより解析をした。さらにウェスタンブロットによりタンパク質レベルでマーカータンパク質の発現とリン酸化レベルを解析した。さらに質量分析計を用いたリン酸化プロテオーム解析により特異的にリン酸化される蛋白質の解析を行った。その結果、全遺伝子発現解析とリアルタイムPCRの結果では平滑筋の分化マーカー遺伝子の発現がニコチン暴露により変化していた。そして、形質転換により変動するマイクロRNAを特定した。同時に形質転換により特異的にリン酸化する蛋白質を同定した。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)
Atherosclerosis
巻: 237(2) ページ: 464-470
10.1016/j.atherosclerosis.2014.10.019.
J Microbiol Methods.
巻: 100 ページ: 137-141
10.1016/j.mimet.2014.02.018.