研究課題
心血管病の性差の分子機構を解明することを目的とし,発生段階・再生心筋における性差に注目して研究を行った.1)ヒトiPS細胞由来分化心筋について,昨年度に発見した成熟心筋化にする因子の開発を進め特許を出願した.アデノウイルスベクターを用いて蛋白XをヒトiPS心筋に過剰発現したところ,代表的なQT延長薬2剤による細胞外電位持続時間の延長の作用が臨床結果を反映できるようになった.さらに,収縮―弛緩を非侵襲的に計測する手法も開発し,本技術と組み合わせることに成功した.2)胎児マウス心臓の冠血管に雌雄差があることを,インク微笑注入による血管造影法を用いて明らかにした.この結果を受けて,当該年度は,Y染色体上の精巣決定遺伝子Sryの自然発症欠失変異と常染色体上へのTGを組み合わせることで表現型が性転換するマウスでも雌雄差が見られるという結果を得た.3)成体マウス心臓標本のDNAアレイデータに対し,適切な正規化法を施すことにより,雌雄差遺伝子を500以上同定する事に成功した。当該年度は,新たに2)の実験と同時期の胎児マウスの心臓におけるmRNAの発現の雌雄差についてDNAアレイにより調べたところ(雌雄各n=3),有意な雌雄差がある25遺伝子を同定した.心臓の形態発生や冠血管発生に重要な遺伝子も含まれることから,病態の雌雄差を決定する因子である可能性を今後は検討していく.
すべて 2014 2013 その他
すべて 学会発表 (20件) (うち招待講演 6件) 図書 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
http://www.tmd.ac.jp/mri/cph/index.html