研究課題
本研究は、神経保護や神経分化に関連する機能を持つ転写因子Neuronal PAS domain 4 (NPAS4)がストレスにより発現抑制するメカニズムを解明することを目的とした。平成24年度までに、NPAS4プロモーターの転写開始点から1~2kb上流の付近に集中するグルココルチコイドレスポンスエレメント(GRE)がNpas4プロモーターの転写活性を抑制することを明らかにし、クロマチンIPアッセイによってマウス脳海馬においても拘束ストレス依存的にNPAS4プロモーターとGRとの結合が増大することを示した。平成25年度はストレス負荷によるNpas4プロモーターのDNAメチル化亢進についてさらに詳しく解析し、3週間の拘束ストレスがNpas4プロモーターの転写開始点付近のCpGアイランドのDNAメチル化を亢進することを明らかにした。この領域に含まれる2つのCRE配列に部位特異的変異を導入するとNpas4プロモーター活性が低下したことから、これらのCRE配列がNpas4プロモーター活性に重要であり、ストレス負荷が誘発するDNAメチル化亢進がCRE配列を介したNpas4転写を抑制したことが示唆された。この成果は現在投稿中である。次に、ストレスによるNpas4の発現低下が脳神経機能に及ぼす影響を追究するために13~30週齢のNPAS4遺伝子欠損(NPAS4-KO)マウスを用いて行動試験を行ったところ、NPAS4-KOマウスは野生型マウスと比較して多動、不安様行動の減少、記憶能力の低下などが示唆された。さらに、PPIの顕著な低下から、NPAS4-KOマウスでは感覚情報処理能力が障害されていることが示唆された。この様なフェノタイプを表す要因の候補として、NPAS4-KO マウスでは野生型マウスと比較してGABA受容体の発現が低下しているというデータを得た。
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