研究課題
本研究の最終的な目的は、腎障害におけるミネラロコルチコイド受容体(MR)の関与について解明することである。まず、ダール食塩感受性高血圧ラットやストレプトゾトシン投与糖尿病マウスにおいて検討を行った結果、これらの病態で生じる尿細管間質の炎症や線維化は近位尿細管を中心とした腎組織の老化を伴っていることを見出した(SA-βGal染色によって評価)。さらに、腎組織中のp21, p53, sirt1, sirt2などの老化関連遺伝子の発現が増加していた。これらすべては、MR拮抗薬の投与によって抑制されたことから、MR活性化による近位尿細管細胞の老化が、尿細管間質の障害に関与していることが示唆された。一方、アンジオテンシンII依存性高血圧ラットによって生じる腎臓の老化には、MRが関与していないことも明らかとなった。一方、マウスに対してストレプトゾトシンを投与して糖尿病性腎症を発症させたモデルにおいて、抗酸化剤であるテンポールの効果について検討したが、実験条件が整わず、一定の見解を得る事ができなかった。同時に、予定していたヒト腎生検サンプルを使用した実験も、実行に必要なレーザーキャプチャーが故障しているため、実行できなかった。これに対して、培養ヒト近位尿細管細胞での実験においては、MRの活性化が、酸化ストレスを介して老化を生じていることが明らかとなった。このようなMR活性化による近位尿細管細胞の老化は、おもに酸化ストレスとp21を介して生じていることも証明した。これらを含める一連のレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の研究結果は、多くの国内外の学会にて発表され、数編の英文誌に掲載された。尚、交付された助成金はすべて消耗品(動物、培養細胞、ディスポーザル器具、遺伝子発現測定キット、蛋白発現測定キットなど)に対して使用された。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
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