研究課題
前年度までに、IL-1βのHepG2細胞への添加で、ATF5タンパク質が安定化し、発現量が上昇すること。安定化には、ATF5 N末端領域に存在する疎水性度の強いアミノ酸残基による高い疎水性度とタンパク質凝集度が重要であることが分かった。本年度は以下のような検討を行った。ATF5 N末端領域をGFPのN末端に結合したキメラタンパク質を作製したところGFPの発現量は野生型に比べ著しく下がった。そして、IL-1β刺激による発現量の上昇能を獲得した。この事からATF5 N末端領域には下流のタンパク質の発現量を調節する機能がある事がわかった。次に、この平常時の不安定化領域そしてIL-1β応答領域として機能しているATF5タンパク質N末端領域の立体構造をRobettaserverにより計算した。その結果、疎水性アミノ酸に富んだN末端領域のα-ヘリックスが2カ所存在し、疎水性ネットワークを形成している事が予想された。先行研究により、ATF5の分解阻害因子としてHSP70,分解促進因子としてNPM1が同定されていたが、予想に反してATF5とHSP70およびNPM1との相互作用のIL-1β刺激による変化は見られなかった。さらに、細胞内で凝集タンパク質の分解除去を促進するオートファジーのATF5分解への関与を検討したところ、プロテアソーム阻害剤によりATF5タンパク質の発現量は上昇したが、オートファジー阻害剤はATF5タンパク質の発現に影響を与えなかった。オートファジーはATF5タンパク質の発現には関与しない事が示唆された。
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