研究概要 |
文献を調査したところ、エルトリエーションと密度勾配遠心法を組み合わせればECL細胞の単離が可能であることが判った。この方法を用いればストレス負荷で胃粘膜に起こる変動がECL細胞か他の細胞かを見分けることができると考えられる。一方でマウスでは1時間の拘束水浸ストレス負荷により胃粘膜からの出血が起こることが報告されていることから、まず、肉眼的な出血が起こる前の胃粘膜でのヒスタミン代謝関連遺伝子の変動を調べることを試みることにした。ヒスタミン代謝関連遺伝子としては合成酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素、不活化酵素であるヒスタミンN-メチル基転移酵素、ジアミン酸化酵素、モノアミン酸化酵素B、消化管粘膜で発現の可能性のある受容体H2, H3, H4,ヒスタミンが基質となり得る輸送体VMAT2, OCT2, OCT3, PMATを考えている。ヒスチジン脱炭酸酵素は拘束水浸ストレス負荷により活性増加が報告されているが、その他の遺伝子の変動については報告が無い。 この実験のため、ラットおよびマウスを自由摂食条件下と1晩絶食状態のものを用意した。これらを更に実験群と対照群の2群に分け、実験群は固定器を用いて固定し、拘束水浸ストレスを与えた。30分の拘束水浸ストレス負荷によりマウス胃粘膜には出血は見られなかったが、発赤が認められた。ラット胃粘膜は肉眼的にはほとんど変化を認めなかった。これらの動物から胃底部、胃体部、十二指腸、空腸、とマウスからは肝臓、ラットからは腎臓を採取し、RNAを調製した。
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