研究概要 |
(1)終夜絶食したマウスおよびラットにWRS(拘束水浸ストレス)30分間処理を行った後、胃粘膜を観察した。WRS処理30分間によりマウスおよびラットの胃粘膜では軽度の潰瘍が生じていた。採取した胃粘膜の抽出液のヒスタミンを測定してWRS処理30分の有無による変化を調べたところ、マウスの胃粘膜ではWRS処理によって1.6倍程度、ラット胃粘膜ではWRSによって1.3倍程度のヒスタミン増加が観察された。 (2)終夜絶食したラットにWRS処理30分後、食道、胃底部、胃体部、幽門部、腎臓を採取しタンパク質を調整し、抗ヒスタミン N-メチル基転移酵素(HMT)抗体、抗ヒスチジン脱炭素酵素(HDC)抗体、抗ジアミン酸化酵素(DAO)抗体、リン酸化MAPキナーゼ抗体を用いてウエスタンブロットを行った。HMTはWRS処理有り無しいずれのラットにおいても腎臓のみで発現を検出できたが、食道、胃、十二指腸では発現を検出できなかった。胃粘膜は、胃底部、胃体部、幽門部に分けて行ったが、発現を検出できなかった。HDCについてはWRS処理有り無しいずれのラットにおいても胃体部および幽門部において発現が検出されたが、WRSの有無による有意な発現の変化は検出されなかった。DAOについてはWRS処理有り無しいずれのラットにおいてもいずれの組織においても発現が検出できなかった。ERK1/2, SAPK/JNK, p38の3種類のMAPキナーゼのリン酸化について調べたが、WRS処理有り無しいずれのラットのいずれの組織においても有意なリン酸化状態の変化は検出されなかった。 (3)マウスをWRS処理30分間処理して胃底部、胃体部、幽門部からRNAを抽出し、HMT遺伝子の発現変化を定量PCRにより調べた。いずれの組織においてもHMTの発現は低く、WRSによる有意な発現の変化は検出されなかった。
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